ニクガタナ

アルキメデスの大戦のニクガタナのレビュー・感想・評価

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
3.5
戦争にひた走る日本で、戦艦大和の建造を天才数学者は止められるか?山崎監督は宇宙戦艦での大敗の借りを返せるか?最初に結果を見せる構成は良し。折れる艦体、立ち上がる黒煙が見たことのない迫力ある画。大作風だが、そう見えるのは冒頭だけ。その余韻を残した上で本家?ヤマトの「人類滅亡まであと○日」みたいなタイトルでタイムサスペンス風に仕立て、計算と会議シーンで金をかけずに間を稼いでて計算高くて感心。鉄の総使用量から軍艦の建造費を割り出す数式で、知り得ない艦の建造費を当てて会議出席者を納得させてたが、受注額に不正があるのを明らかにしてる訳で、軍の帳簿記録が正しいとは思えないんだが…。山本五十六に臨時に雇われたはずの主人公が軍に残り続ける意味も分からない。脚本いろいろ適当。結果的に大和は造られてる訳だから、どうまとめるのかと思ったらなるほどね。腑に落ちて上手かった。戦争を止めたかった者、避けられない戦争をどう終わらせるか考えた者、どちらも確かにいたんだろうな。「ビューティフル・マインド」を彷彿とさせる神秘的な音色の劇伴が単調ながら効いてる。ロケ地がやたらと朽ちてて安くて残念。当時の軍港の地面がぼろぼろな訳ないじゃない。直そうよ得意のCGでさ。ヒロイン浜辺美波が可愛くなくて残念。ヘアメイクがパッとしないし、衣装もイマイチ、撮り方にも問題ある気もする。まぁ良い。本作は男たちを愛でる映画。軍服姿の舘ひろしも國村隼も貫禄充分、大変サマになってる。現実的な佇まいの海軍大臣役小林克也がなんだか良かった。菅田将暉と柄本佑のペアも良い感じ。中盤の二人のバディ感がわかりやすくいい。そして思慮深い造船中将役の田中泯が圧倒的にカッコいい。
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