片田舎で、貧しく生きる二人の兄妹。
足に障害を抱える兄と、知的障害者の妹。
仕事をリストラされ、どん底にまで落ち、明日の命まで見えない日々。
限界を超えてしまった兄は、
障害を持つ妹を連れて男に尋ねる。
「いい子いるんですけど、1万円でどうですか?最後までオッケーです。」
観客の胸ぐらを掴んで、揺さぶりながら、倫理や正義を問う、
狂おしいほどにまっすぐで純粋な映画。
観てる間、多分ずっと顔はいびつに歪んでいた。
ここに映るのは、フィクションのはずなのに
どこかにある現実のように思えたし、
自分が同じような状況だったら、と考えてしまうし、
ずっと、自分の中に巣食う嫌な部分と向き合わざるを得なかった。
二度と観たくないと思う。
でも一度は見るのがいいと思う。
こんなにも内側をえぐられる映画に出会えることは
幸運なことだと思うから。
えげつないのは、
童貞の、いじめられっ子の高校生を相手にして、
「生きてるといいことあるんですね」って言われるシーンの前に、
友人に「妹になんてことさせてんだ。それでも人間か?」と言わせるシーンを入れてるとこで
「偽善者め」って言い放った主人公を僕たちは簡単には否定できない。
きっとそう。
見出しだけに踊らされて誰かを攻撃したりしてしまいがちだけど、そうじゃなくて、ちゃんと見る。
そうすることで、簡単に否定することを、
簡単に攻撃することを、
やめられる。
そうすると、不思議と希望は見えてくる。
湧いてくる。
生きる。がむしゃらでもみっともなくても。
それこそが希望。
とんでもない映画でした。