たいが

この世界の(さらにいくつもの)片隅にのたいがのレビュー・感想・評価

4.0
オリジナル版にいくつかのシーンが加わっただけなのにテーマも視点もガラリと変わった作品になってた

オリジナル版は戦争の中での北条家及びすずさんが中心だったけど今作はよりすずさんに、もっと言えば女性としてのすずさんってとこまでグッと視点を寄せてあった

だからオリジナル版とはもうほぼ別の映画として成り立ってたイメージ

今作は「繋がり」や「繋がっていく感覚」というのをすごく感じた

はるみさんと手を繋ぐ、りんさんから物を貰うといった目に見える繋がりだけじゃなくて、記憶とか思い出とかの目に見えない繋がりもすごく感じた

また次会えるかも分からない状況だからこそより強く繋がりを意識するのかもしれない

前作を見た時にすずさん以外の登場人物の人生も見てみたいと思ったんだけど、りんさんとラストで北条家の一員になる女の子の人生がエンドロールで描かれていたのがかなり良かった

そこでもりんさんという点だった存在が過去を知ることでひとつの線として繋がっていく感覚があったし、女の子が北条家の一員となって育っていく過程が戦争によって失ったものをお互いに補い合いながら新しい家庭を繋いでいく感覚があった

オリジナル版と2作見て思ったんだけど戦争映画でありながら戦争や敵国に対する憎しみとかが出てこない
戦争というなかったことにはできない過去を受け入れてそれでも前に進む、そんな意志を感じるのです

それを象徴するような原爆が落ちた後の広島から帰った時のすずたちを迎える呉の街の灯りが好きだ
たいが

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