爆裂BOX

オーヴァーロードの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

オーヴァーロード(2018年製作の映画)
4.5
J・J・エイブラムス制作でナチゾンビ物という事で興味をひかれて初見は劇場で鑑賞しました。まず、オープニングの「プライベート・ライアン」を彷彿させる阿鼻叫喚の地獄絵図の描写が凄まじいですね。機体に銃撃と砲撃を受けて次々倒れる仲間。主人公のボイスと一緒に観客も空に投げ出され、地獄の戦場に落ちていく感じがたまりませんね。地上に降りてからもポキーム・ウッドバイン演じる軍曹が速攻で蜂の巣にされたり、やっと合流した仲間の一人も地雷で吹っ飛んだりと息つく間もない展開で飽きさせませんね。この前半は(というかほぼ全編)非常に熾烈でクオリティの高い戦争アクション映画になってますね。別に戦争映画好きって程じゃないんですが、普通に戦争映画としてのクオリティはかなり高いと思います。
ボイスがナチスの実験場である教会に潜入してからは脊髄付きの首だけで生きてる女などのホラー描写が出てきてアクションホラーへとシフトチェンジしていきます。赤い秘薬の入った注射器は「死霊のしたたり」意識してるんじゃないですかね(あっちは蛍光グリーンだけど)
宣伝ではゾンビと言ってましたが、ゾンビというよりは強化人間という感じですね。数も10体に満たないくらいで戦うのは2~3体くらいなのでワラワラ出てくるゾンビと戦う展開期待したら外すかもしれませんね。ヒロインのクロエを追いかけてくる強化人間の妙な動きは中々インパクトありましたね。チェイスの首がのけぞるように折れるシーンもギョッとさせられますね。頭何発か撃たれてたけど死なないし、チェイスやワグナー大尉は自我もしっかりあったし実用化されてたら間違いなく最強の軍隊になってましたね。
キャラも主人公のボイスは最初弱気な表情を浮かべる兵士だったのが後半凛々しい顔つきになっていくのが良かったですね。弱気だけどネズミを逃がす優しさと正義感を持っているというベタな主人公設定も良いです。ちょっと上官に楯突きすぎな気はしますが、任務を優先しようとする伍長に「NO!」を突き付けるシーンはベタながらグッときました。あそこ迄正義感貫けたら大したもんだ。ヒロインのクロエも最初は虐げられる存在だったのがドンドン強さを身につけていくのが良かったですね。火炎評者気を噴射するシーンカッコイイです。結局ほぼ一人で弟救出なしとげましたね(笑)お喋りで皮肉屋のスナイパーティペットもイイキャラでした。最初は主人公に皮肉ばかり言ってたのがポール救出を提言する所ではボイスを援護する所はいいですね。途中から合流するジェイコブはあんな管刺されてたし、絶対化け物になると思ってたら凄い戦力になったのは意外でした。ティベットもジェイコブも最後の戦いで死にそうな雰囲気出してたけど生還したのも意外でしたね。チェイスは一番損な役回りだったかも。ボイスが良かれと思ってやったことで悲惨な事になりましたね。
そしてなんといっても頼れるリーダーになるフォード伍長がカッコよすぎでした。最初は他人を寄せ付けない一匹狼な雰囲気出しながらも冷静に作戦を進めていこうとするプロフェッショナルぶり。演じるワイアット・ラッセルはカート・ラッセルの息子さんですが、親父さんがジョン・カーペンターの映画で演じる主人公っぽいキャラでしたね。「このんな血清は味方にも渡せない」というセリフと最後の漢っぷりも素晴らしい。
ワグナー大尉の悪役っぷりもいい感じでした。破壊された顔面のビジュアルインパクトは中々強烈でした。てか、あんな傷折って良くあそこ迄持ったな。
最後ラストバトルとワンカット風の爆発シーンもテンション上がりましたね。
ゾンビ映画という感じはあんまりなかったですが、戦争アクションホラーの快作ではないでしょうか。