胸糞鬱不条理大好き

ナイチンゲールの胸糞鬱不条理大好きのレビュー・感想・評価

ナイチンゲール(2019年製作の映画)
3.5
女性軽視と人種差別の問題を、イギリス植民地時代のオーストラリア・タスマニア島を舞台に描いた物語。監督がオーストラリア出身ということもあり、映画の重みが増すように感じる。

憎たらしい犯罪シーンをオブラートに包まず映しているため観る人を選ぶ映画であり、映画祭では途中退席者がでたとのこと。
レイプされ旦那は銃殺、赤ん坊は黙らすため壁に叩きつけられ殺される。これを匂わせるでなくそのまま映像化しています。割と序盤で。
あとは道中ちょくちょく死体も有り。

その悲惨な目にあう主人公クレアの復讐劇としてスタートしていきますが、単純に「目には目を歯には歯を」なストーリーではなくなっていく。

暴力を暴力で返す事が救いではなく、より自身を苦しめることになったクレアがどのようにして尊厳を示していくか。

被差別者であるクレアが黒人を迷うことなく差別していたが、道案内役の黒人ビリーとの旅路でどのように変わっていくか。

オーストラリアの暗い歴史を示す教科書的な話であるとともに、性別・立場・人種をきっかけに人間の精神的弱さが起こす犯罪は現代に尾を引いていると警告するかのよう。


でも個人的には、クレアに全員ブチ○して欲しかったっちゃあそうです。