Yukiko

ある画家の数奇な運命のYukikoのレビュー・感想・評価

ある画家の数奇な運命(2018年製作の映画)
4.4
2022年3月24日
『ある画家の数奇な運命』  2018年イタリア・ドイツ制作
監督、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。
この監督さんの作品『善き人のためのソナタ』『ツーリスト』
と今作の3作、どれもいい(^^♪

ドイツ。ナチ政権下。
クルトの叔母は強制的に入院させられ、安楽死政策により
殺される。
終戦後、クルト(トム・シリング)は東ドイツの美術学校に
進学。そこで、服飾科のエリ―(パウラ・ベーア)と恋愛
関係になる。
東ドイツの変動の時期、エリーの両親は西ドイツへ。
クルトとエリーは結婚し、二人も西ドイツへと逃亡する。


ドイツの画家、ゲルハルト・リヒターの人生を「人物の名前を
変えて、何が事実か事実でないかは互いに絶対明かさない」
条件のもと、映画化されたとのこと。

その時代、ドイツの優生保護の考え方、弱者切り捨て、排除
がこの映画のナチス親衛隊の医者、エリーの父の考えの根本
となる。
その父の考えに翻弄される、エリーとクルト。

ヒトラーの時代が終わって、その後のエリーの父は優生保護の
先鋒だった為、捕まるのを恐れ西ドイツへ逃げた。

クルトも、東ドイツで生活の為、学費の為だけに描く絵に
飽き足らず、西ドイツへ逃亡。
そして、クルト自身の絵のテーマを見つける。

そのきっかけのヒントとなるのが、亡くなった叔母、
優生保護の為に殺された叔母の言葉だった。
「真実はすべて美しい」

トム・シリングさんを囲む周りの出演者の方々の熱演、
皆がその人物に成りきったように、特異な人物をそれぞれが
熱く演じているように見える。
特に父親役のセバスチャン・コッホさん。
トム・シリングさんはそれら皆を繋ぐ要のような、
抑えめの演技のように見える。

話といい、出演者の演技といい、いい映画でした。
Yukiko

Yukiko