みかぽん

ある画家の数奇な運命のみかぽんのレビュー・感想・評価

ある画家の数奇な運命(2018年製作の映画)
3.8
主人公(=画家)の義父が、実は叔母殺しの決定を下したナチの高官、という数奇な巡り合わせ。その義父は戦後もその罪を隠し、そして彼にとっての幸運を得たことで、その後も医者としての地位と名誉を保ち続けている。

とは言っても根っ子は相変わらずの権威主義者。だけでなく、戦時下の政策のまま〝断種法〟に傾注しており、画家の妻である自分の娘にさえこの信念を遂行する恐ろしさっぷり😰😰。
そしてそんな父親の本性を身内も画家も知らないままなのだ💧(なので本作はその事実を世間に掘り出して糾弾…のドラマ仕立てにはなっていない)
さらにこの義父、表面的には親玉逮捕でジワジワ追い込まれつつも、それを上手くかわして逃げ延びて行くので、物語を追う我々は「果たして結末を何処に着地させるのだろう」と気になり始める。
が💦その矢先、、、
苦難の末に、画家は自由な創造性を養わせてくれた亡き叔母の精神=画家のアイデンティティーとなる事象を作品に投影させ、渾身の作品を描き終える。するとその中に義父が封印していた事実があぶり絵のように浮かび上がり、画家本人が無意識に語っていた「意味のない数字の羅列が意味を成す瞬間」が訪れる。
このパズルのピースが埋まった瞬間に、彼は画家としての成功を手にし、義父はその裏側にある運命の数奇を知って戦慄する。
そしてそれに至る物語を知る我々は、まるでルビンの壺のからくり(表向きの展開と裏側の真相に浮上した二重構造の結末)を持つ奇跡の目撃者となるのだ…😧😧。
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