KnightsofOdessa

ROMA/ローマのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
3.5
No.1215[全てが90点くらい] 70点

駐在時代に私の家にも家政婦がいたが、住み込みとは云えどここまで家族との密接な交流があったかは微妙なところがある。まぁまず家族構成も国も違うから比べるのも変な話だが、我々一家が日本に帰国して10年近く経って彼女が元気にしているかは気になるところではある。

画の締まり具合は悪くないんだが、なんと言えばいいか締めすぎてネジ山が死んだような感覚が私を襲っている。策に踝まで浸かってひゃあ冷たいとやっていて、別に溺れてるわけじゃないが確実に足は濡れているというような感覚。個人的にはルベツキのヌルついたカメラワークの方が好きだが、ラヴ・ディアスでも意識したかのようなモノクロ固定長回し三人称斜めショットはある種居心地の良い子守唄のように私を包み込んだ。ただ、広い空間を広く見せるベーラ・タルや広い空間を狭く見せるラヴ・ディアスに比べると狭い空間を広く見せていたキュアロンのショットは既視感が拭えない感じがしてちょっと残念だった。ルベツキならもっとエロいショットを撮るぜ。最後の浜辺のとこはルベツキっぽかったけど。(ルベツキは多忙に付き企画段階で技をキュアロンに伝授して抜けたらしい)。
しかし、全部のショットが90点位で好きなんだけど満点取って心をぶち抜くようなショットが一つも無かった。

とまぁ連々と自分が心惹かれなかった理由を並べ立てている訳だが、個人的にいい映画止まりの映画だっただけで美しいことは確か。地震や山火事や政治暴動に巻き込まれながらも独自の時間軸を進む中産階級の家族はどこか「山猫」を思い起こさせ勝手にエモくなっていたが、物語としては同作の圧勝であり、階級ものとしては永遠の平行線を辿る本作品はやっぱり90点くらいなのよね。

Netflixというのは全世界同時公開だから話題作をすぐに自宅で見ることが出来るという点で優れているとは思うが、配信しないと言われれば途端に鑑賞困難となるのはいけ好かない。
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