イホウジン

ROMA/ローマのイホウジンのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.9
整然としていて且つ小さな出来事を壮大に描く、洗練された素晴らしい作品。

映画内で発生する出来事は非常に小規模で、ハリウッド映画ならサブストーリーの要素程度に収められそうな内容である。起こるイベントも2時間映画にしては少ない。にも関わらず、こういった退屈な駄作になり得る要素を圧倒的な映像美と当時の社会の空気の表現を添加することで、唯一無二の温かみのある良質な映画へと化けたのである。
映像は言わずもがな見事である。単純に映像の解像度と音への拘りが強いというのもあるが、それぞれの映像にセリフとは別の、まるで語りかけてくるような感覚に陥らせる点がすごい。
英語とスペイン語と先住民の言語が混在する場面で、英語だけ字幕がつかなかったのが印象的。英語が登場するシーンはほんの一部だが、観てる側としてはまるでアメリカ人が「他者」であるように思えてくるのが面白い。実際、主な登場人物たちのその場面における不自然さはとても印象的である。(まるで英語しか通用しない米国アカデミーに喧嘩を売ってるようだ笑)

社会と登場人物たちの相関関係が大げさだったかなとは感じる。やや無理やりな感じはした。
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