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ラストレターのamuのネタバレレビュー・内容・結末

ラストレター(2020年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

物凄く良かった。

正直言うと、岩井俊二さんも福山雅治さんにも苦手意識があった。岩井俊二さんの世界観は何処か怖さを感じていたからだ。切ない世界観=怖いというか、直視することに抵抗のある内容だったりとか。不思議過ぎたりとか。

また福山雅治さんに対しての苦手意識は独特の話し方やそこはかとなく漂う僕、福山雅治ですよ?感。これは木村拓哉さんにも感じる感じでもある。どんな役を演じてもその福山雅治でございますが強くて作品が入って来なかったのだ。今までは、、、。

それがこの作品では自分が抱いてしまっていた苦手さが1ミリも無く、福山雅治さんもこれまで観たどの役よりも良く、僕、福山雅治でございますも全く無かった。ちゃんと、役の乙坂さんだった。

痛いのに涙さえ出せない苦しい雰囲気と感情、そして独特過ぎるがゆえの怖さも全く無いとんでもなくあたたかい岩井俊二ワールド作品だった。リップヴァンウィンクルなどとは全く違う、生きることを、これからの人生をがんばろうと思えたり、またこれまでの過去を全て肯定されたような、それは苦しかったことも辛かったことも、これからの人生、自分の人生にとって必要だったと心から思えるような、大丈夫だよと抱きしめられるような感覚だった。

豪華すぎるキャスティングに最初は怯んだものの、豊川悦司さん、中山美穂さんについては岩井俊二監督初の長編映画となった「Love Letter」の主演二人を起用したオマージュともいえ、粋な計らいなのだと気づいた。(観たことが無いので、近いうちに鑑賞しようと思う。)

そしてこの作品の最大の魅力ともいえる広瀬すずさんと森七菜さんの演技。特に森七菜さんの演技は天才的であったし、広瀬すずさんは彼女の実力を静かな中に新たな魅力を感じさせるほどだった。双方ともにとんでもない透明感で、顔が可愛いとかそんな薄っぺらいものではなくて、内面からの美しさ、純粋さが演技を通して溢れていた。素晴らしかった。

どハマり過ぎて見終えてすぐにまた観て、を繰り返し、この二日で5回以上(好きなシーンを主に)繰り返し繰り返し観てしまった。

細かいところでいうと、お話の主軸になっている「手紙」ももちろん素敵なのですが、私はそれと同じくらいに「写真」という存在の見せ方にぐっと来た。

福山雅治さん演じる乙坂さんがRollei35で思い出の場所である取り壊しがきまっている高校を撮るシーン、二人の少女たちを撮るシーンがとても良かったし、それらをお土産と称して松たか子さん演じる裕里に渡したスケッチブックに貼られた写真たちが凄く胸にきた。

エンディングの歌も素晴らしくて、これを歌う森七菜さんの声がまたとてもとても良い。

大切に思える作品に出逢えて幸せに思う。
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