TaichiShiraishi

ラストレターのTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

ラストレター(2020年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

これは困った映画。評価が難しい。絵とキャストは最高だけどそもそもの企画が飲み込みづらい。ちなみに初岩井俊二です。だからかな。LoveLetterは見ておくべきだったのか?

それにしても予告で予想していたストーリーとはだいぶ違ったわ。まさか現代パートにも広瀬すず&森七菜がいるとは。そして現代パートの方が長いとは。過去の話中心で福山雅治はちょこっと顔出すだけだと思ってたら結構出番多い。

今回の福山は序盤はなんだか怖い。髪型やら現れ方が不審者。最初は結構嫌悪感抱くけど、だんだんと彼に寄り添う気持ちになっていくのはさすがの演出だと思う。

そして松たか子は序盤出ずっぱりだけど急にいなくなる。ていうかなんでこの映画は松たか子が一番最初にクレジットされているんだろう。一応主人公か?

視点ががスムーズにシフトしていくのは面白かったけども。

まあそれは置いておいてこの映画は何が素晴らしいって広瀬すず&広瀬すず&森七菜が並んだ時の圧倒的な「尊さ」ですわ。すごいわ。この世のものとは思えん。あの可愛さを煮詰めたような並びだからこそ、福山が廃校であのふたりをたまたま見かける場面の重要さが増す。

たわいもない会話の一つ一つが愛おしすぎる。とくに森七菜は純朴そうに見えて意外と悪ガキで、現代っ子だけどなんか抜けている子の演技がうますぎる。ていうか素なのか?笑

広瀬すずに一目ぼれして追いかけてたらいつの間にか森七菜に告白されているってどんなシチュエーションやねん。しかも結局そのあと広瀬すずとも付き合ってるし。いくら神木隆之介でもそれは無理じゃないか?(笑)

2人の女優の今しかない短い間の輝きを捉えているからこそ過ぎ去った時代のかけがえのなさ、喪失感が際立つ。しかも夏の終わりだしな。なんでこの時期に公開したんだろう。

あのふたりが映ったあとじゃ、福山だろうが、トヨエツだろうが、中山美穂だろうが汚い汚い。庵野さんは一体どういう理由でキャスティングされたんだろう。「風立ちぬ」より演技上手くなってたし、こじらせ漫画家旦那はハマってたけど。話上あいついるか?

まあそれは置いておいて、トヨエツが福山に辛辣なことをぶつけまくる場面は素晴らしかった。あそこで傷つけつつも、実は「未咲が不幸な人生を送ったのはお前のせいじゃない」って言っている優しさよ。

あと、今気づいたけど未咲って名前にも「咲ききれなかった人生」の意味がこもってるのか。さすが原作も書いてるだけある。

ていうか細かい漢字は忘れたけど「仲たがい」高校ってどんな校名だよ(笑)。

映像的にも綺麗だし、岩井俊二は意外と子役にマセガキ演技させて目先の笑いを狙ったりするんだなって発見も面白かった。あと死んだ人の視点みたいな画角の映像も印象深い。

ラスト、視点が鮎美に変わって、半分が滝になって半分がそのまま緩やかに流れていく川を映すカットはかなり意味深でした。母親と妹の人生の対比なのかそれとも今後の人生の暗示なのか。


とか考察しがいはあるけど、そもそも死んだ人のフリして手紙出すとかどうよ。しかも妹やら娘やら姪っ子やら。

あとあと乙坂さんの小説に救われていたって鮎美のセリフがあるからまだいいけどひどくね?最初は鮎美たち普通におもしろがってたよね。

そんで乙坂もなんで手紙に高校生時代の知り合うまでのいきさつをあんな細かく書いてるの?未咲に送っているつもりなら絶対あんな説明しないよね(笑)。

とかいろいろ気になるけど、変さもこみで必見なのは間違いない。
TaichiShiraishi

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