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永遠の門 ゴッホの見た未来のGreenTのレビュー・感想・評価

2.0
これは、あの世界的に有名な画家、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの最期の数年を描いた伝記映画と言っていいと思うのですが、一般にはゴッホは自殺したと言われているところを違う解釈で描いているようです。

しかしま~、この人は本当に描くことに取り憑かれた人としか言いようがない人です。描かなければ生きて行けない、描くことで心の平安を得る、みたいな。描きたいと思ったらすぐイーゼルを出して、油絵ですよ!自然が好きみたいで、外で油絵描いてるんですけど、雨とか降ってきたらどーすんだろ?と思いました。

天気もそうだけど、小学生が先生に連れられて遠足みたいにやってきて、「画家がいる!」とか言って絡んでくるんですけど、この子供達の意地悪で押し付けがましいイメージが、私が子供に対して抱いている感情なので、「あっちへ行け~!ほっといてくれ!」とブチ切れるゴッホにめちゃ共感しました。

その後、普通に小路を歩いているのに石を投げてきた男の子をとっ捕まえたら、大人が出てきてボコボコにされる。ゴッホ気の毒。しかも、それが原因で精神病院に入れられる。

元々、精神的に不安定でアル中っぽいところもあったみたいなのですが、自分の世界を見る独特の視点を表現したいっていうか、それを人々は知るべきだ、みたいな自信はあるのに、絵が下手だのなんだの評価されないし、子供にまでバカにされて、余計おかしくなっちゃった感じでした。

南フランスの田舎に住んでいる時、ゴーギャンと仲良くしているシーンがあるのですが、この2人が知り合いだなんんて知らなかった。私はサマセット・モームの小説が好きで、ゴーギャンをモデルにした小説にはかなり衝撃を受けて、その中ではゴーギャンはタヒチかなんかに住んでるワイルドでクレイジーな老人ってイメージだったのですが、この映画ではまだ若い頃なのか、印象違いました。

今年は「多様性のオスカー」ということで、ラミ・マレックが主演男優賞を獲ったけど、本当に評価されるべきはこの映画のウィレム・デフォーだ!って言ってる記事もあったので、どんなにスゲーんだ、と思って観ましたが、逆にデフォーにしてはつまらない演技してるなと思った。これなら『フロリダ・プロジェクト』のホテルのおじさんの方がよっぽど心に残る。あの『キリスト最後の誘惑』に匹敵する!って書いてる記事もあって、マジか~!って思いました。

ゴッホという人がどういう人だったかを観るのは興味深かったのですが、独特な撮影の仕方や物語の進め方に馴染めず、デフォーの良さも、話の面白さも、逆に殺している感じがしました。なんか、偉大な画家をアート・フィルムで撮る、みたいな二重に芸術的で難解!!って感じ。きっとそういうのを目指しているんだろうから、私みたいな凡人に理解してもらおうなんて、最初から思ってないのかも。こういうアーティスティックなのが好きな人/解る人にはたまんないのかもしれません。
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