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キング・オブ・シーヴズのShinMakitaのレビュー・感想・評価

キング・オブ・シーヴズ(2018年製作の映画)
1.4

ロンドン、多くの宝飾店が並ぶハットンガーデン。その中央に「ハットンガーデン貸金庫」がある。周りの店が陳列棚の宝石などを預けているため、貸金庫に眠るお宝の価値は莫大だ。

郊外に住む老人ブライアンは、愛妻を亡くしたばかりで沈んでいたが、葬儀に参列した若いケーブル配線業者バジルに声をかけられ気力を取り戻す。バジルはハットンガーデン貸金庫の入口の鍵とセキュリティを無力化するスキルを持っており、金庫からお宝を奪わないかと誘ってきたのだ。実はブライアンは、若い頃に無数のヤマを踏んだ強盗プロフェッショナルだった。彼は早速昔の仲間たち…テリー、ケニー、ダニー、カールを招集。難攻不落の金庫室に侵入する計画を立案し、実行に移していくのだが…


「キング・オブ・シーヴズ」。

以下、ネタバレ・オブ・シーヴズ


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2015年に起きたハットンガーデン金庫事件の映画化作品。三年くらい前にも「ハットンガーデン・ジョブ」のタイトルで映画になってます。amazonプライムに入ってるので今度観てみようかな。マシュー・グードがバジル役で出ているようです。

さて本作。プロットだけだと「爺さん強盗団の愉快なドロボー映画」のように思えますが、実はそうではありません。チームの頭脳であるブライアンは、計算外の事態が連続したことでチームから離脱してしまうし、サブリーダーのテリーも次第に凶暴凶悪な本性を見せていくし、難聴のケニーは二枚舌でアタマも無いのに上手く立ち回ろうとして空回り。ダニーはテリーに付き従うだけの単細胞で、ビビりのカールは途中で逃げる始末。爺さんたちがワチャワチャして爺さん=みんな仲良しという映画における公式が通用せず、疑心暗鬼・嘘・裏切りの連続で、老人vs若者という構図もセオリーの逆…つまり老人たちが惨敗して若者が逃げ切るという展開になっています。実話ベースだからオチは変えられないんだけど、にしてもモヤモヤする展開で感情移入しづらいのが難点。みんな結局は悪党でクソジジイすぎるんだよなぁ。

と言っても、英国爺さんアクターたちが揃い踏みしているのは見応えがあります。最年少(といっても60代)のダニー役はレイ・ウィンストン、テリー役はブリジット・ジョーンズのパパ役でお馴染みジム・ブロードベント、もっとも年老いて役に立たないケニー役は60年代にナイーブ青年キャラで売れていたトム・コートネイ。そしてリーダーのブライアンは、我らがマイケル・ケインです。昔の出演作品からのフッテージも見られて、映画ファン的にはアクターたちの演技だけで観た価値はあったかなと。
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