やんげき

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のやんげきのレビュー・感想・評価

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虹のように鮮やかで、はかない四人の少女時代のシーンは何度観てもきっと輝いて見えると思う。

それが本作の映画としての強度そのものだろう。とにかく美しいショットが多い!!

四人姉妹のボストンの生家で過ごす、温かくもかしましいやりとりは全シーン愛しいし、ビーチで駆け抜けるシーンや秘密のダンスシーンなど宝石のような青春そのものだ。

たった1つでもそんな極上のシーンがあれば、青春フィルムとして一級品なのに、本作の少女時代はほぼ全て極上のショットのみなのだ。

【概略】
19世期アメリカ、ボストンの中流家庭の少女達の大人への軌跡を描いた名作、若草物語をリメイクした作品。
小説家志望のジョーを主役に据え、美しく控えめで、恋に生きる長女メグ、画家志望のメアリーと多くを望まず静かで音楽が好きなベスの4人姉妹がそれぞれの生き方に準じて家を出て、ベスが病に倒れ再び姉妹が家に帰ってくる中で世間を知り、女性の生き方や、真実の愛、自分を問い直し懸命に生きる姿を描いている。

少女達が大人への階段の中で、最後まで自分を手放さず生きる姿はさすがに世界中でベストセラーのクラシック原作だ。

少女から「リトルウーマン」へという端的な成長物語を、青春の痛みや切なさよりも、自分のまま強かになっていく姿が現代的なエンパワーメントを感じて人気の高さもうなづけた。

私が喝采を送りたいのは、こんな風に原作者のオルコットが自分をねじ曲げてしまったかもしれない過去を、フィクションの中で素敵に改変して想いをすくいだしてしまったところ。

これはワンス・アポン・ア・タイムイン・ハリウッドに通じることだけれど、現実の哀しさや切なさをフィクションが未来に向けてポジティブな方向に光を当てるのは、本当に尊い作業だと思う。

なお、私は男なので貧乏なのにモテる男や、金はあるのに振られる男達に共感してしまい、男の!「リトルマン」になる野郎どもはどうすれば良いのか教えて下さいグレタ先生!となった。
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