ぐるぐるシュルツ

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のぐるぐるシュルツのレビュー・感想・評価

4.4
過去を愛したように、
今を愛せるように。

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久々に胸がほっこりするような映画だった。
ブリティッシュな雰囲気は幼い頃ハリーポッターを見ているような気持ちにもなった。
いや、単にエマワトソンが出ているからか。
女性の生き方!っていう宣伝のされ方が気になった。主題は果たしてそれなのかな。

〜〜〜

暖色で鮮やかで華やかな少女時代が終わる頃、
四姉妹はそれぞれに、
寒色で褪せて孤独な時間を過ごしていく。

愛すべき過去のはずなのに、それが重くのしかかり、今を追い詰めて殺していく。
なんだか、すごく共感してしまう今日この頃。

それでもジョーは
ベスの死=決定的な過去との別れを前にして、
思い出達を愛し続けるために、
まだ見ぬ未来を愛し続けるために、
本を書く。

「悩みがたくさんあるから楽しい話を書くの」という冒頭の言葉が劇中ずっと頭を巡る。
この素朴で、それでいて切実な言葉が、
場面場面の痛みをよりくっきりと刻んでくれる。

そして、自らの思い出達が製本される最中、
愛しい過去が綴じられる=閉じられる時のジョーの表情と演出がとびきりに良かった。
ジョーは思い出の四姉妹たちを、父がそう呼んだように、「小さな女性」たちと呼ぶ。
その眼差しにはしっかりと愛と敬意が込められていて。
僕らもこうやって過去と向き合えたらな。

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なによりも、母はつよし。