継

恐怖の報酬 オリジナル完全版の継のレビュー・感想・評価

5.0
あらすじ省略ー。
台詞は少ないけれどカットが要領を得ていて、何と言うかとても観やすかったです。巨木が倒れてるシーンなんか、“装置” の観せ方がホント親切(笑)で。

元ネタから抽出された “追い詰められた男たちの地獄巡り”。
持ち味が異なる作り手によって「別物」へ再構築された、リミックスのお手本のような作品。

秘宝の「キースがオルガンで云々…」てのは読んでたし『sorcerer』という原題が気にはなってたんですが、
フリードキンがこんなにジャズ好きだったとは知らなかったです! sorcererと銘打った意味や選曲のセンス.....
思ってた以上にジャズな映画でした。

バーで流れるマイルス・デイビス “so what” ソロパートの、明らかにオリジナルと異なるメロディーは、フリードキンの種明かしというか、“クルーゾー版の筋はなぞらないぜ” と言ってる様に聴こえるし、

結婚式の教会と、終盤ドミンゲスを襲う悪夢の様な回想シーンの恐らく2ヶ所で使われてるキース・ジャレットのパイプオルガン(讃美歌の意があるアルバムから引用)は、サントラを担うタンジェリンドリームの音色とトーンが近くて、逆に言えばタンジェリンで事足りるわけです。わざわざキースを使う必然性って言ったら「好きだから」?(笑)、他に思い当たらないんですよね。

『パリ』出身のセラーノへの思いを胸にダンスするシーンは『April in Paris』を、それもわざわざチャーリー・パーカーにストリングス付けて踊れるように録られたアルバムから引っ張ってきたり、、もう凄いなと(笑)。

何より、
本作を『sorcerer』と銘打ったフリードキンの意図を
シネマートにも展示されてた(笑)マイルス・デイビスのアルバム『sorcerer』に求めるとすれば思い当たる点が1つあって、
それは、このアルバム収録曲は全てマイルス以外のメンバーが作っているという事。これは過去のオリジナルアルバムでは無かった事で、
マイルスが吹いてない曲すらある『sorcerer』は、それでいてマイルス以外の誰のモノでもない音が、音楽が、鳴ってるアルバムなんです。

フリードキンはもしかしたら、“クルーゾーが作ったモノだけど、オレの映画になってるだろ?” って、ドヤ顔でほくそ笑んでるのかもしれないですね(^-^)。

デカいスクリーンで観なきゃダメなやつ。フリードキンに感謝です。
継