くるみ

楽園のくるみのレビュー・感想・評価

楽園(2019年製作の映画)
3.5
なんとも救いのない胸糞悪くなる作品だった。
何の罪もない善人や弱い立場の人が些細なきっかけからあらぬ疑いをかけられ、追い詰められていく様が描かれる。
主要キャストの三名(綾野剛、杉咲花、佐藤浩市)が実力派なだけに、人が壊れていく様子がただただ可哀想でひたすらに虚しく、ジリジリと胸に迫る。
閉鎖的な村、自己中心的な老人たちの姿に、限界集落の限界集落たる所以を見た気がした。

誰かを生贄にしてでも安心したいという残酷なまでの身勝手さはもしかしたら誰しもが胸に隠し持った感情なのかもしれない。
気に入らない、気持ち悪い…そんな個人的な偏見や差別意識が根拠のない噂を広め、疑心暗鬼に拍車をかけていくのだと感じた。
新型コロナの流行によって不穏な空気の流れる今の時期に観たことで、より身につまされる作品となった。

ただひとつ拾い物があったのは、上白石萌音ちゃんが歌う主題歌「一縷」がすごく良かったこと。
とにかく歌い出しから惹き込まれる。
歌声も歌詞(RADWIMPSの野田洋次郎さんが手掛けてます)も素晴らしいので、本作はともかく主題歌だけでも一度聴いてほしい。
くるみ

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