蟻子

楽園の蟻子のレビュー・感想・評価

楽園(2019年製作の映画)
3.6
『いざとなったら
人間なにやるかわかんないんだよ

みんな表と裏の顔持ってんだよ』


綾野剛が出ているので気になっていた今作。「怒り」が衝撃的で大好きな作品なのでなんとなくそんな感じの空気かしらと思っていましたが、「怒り」と比べたらアカン一本でした。(怒りの方がミステリーとして面白すぎるので)

ただ佐藤浩一の衝撃的なシーンがいくつかあるので、それだけでも見た価値はあったかも。なんでこんなことさせるんだよぉ…と。何回か吐きそうになりました。

生きるってつらい。しんどい。
最後に希望の光をちらつかせたって、重い邦画の後味はマジで重い。


*以下ネタバレあり


ストーリーも構成も、国語の読解問題はどちらかというと苦手だった自分には、全編通して難解でした。そもそも
Ⅰ.「罪」Ⅱ.「罰」Ⅲ.「人」
という三部構成は些かカッコ付けすぎやしませんかね?
もっと噛み砕いて同じ目線でお話ししてくれませんか?高尚に見せようとしないでよ、と思ってしまう。苦手意識が働いてしまう。そしてよく理解できない。これって鑑賞者側の頭の悪さが悪いのか?と責められている気になる。
登場人物たちの行動も、正直「なんでそんなことするの?」の連続。その行動から心理を読み解けと言われている感じがすごく苦痛。

なぜ土を、死んだ嫁の骨を喰らうのか?
なぜ素手で看板抜いて捨てるの?気持ちはわかるけどその行動は大袈裟に思える。
というかそもそも杉咲花ちゃんは虹郎さんのこと嫌いこそすれ、好きとか仲良くなるとは思えなかった。
まぁ豪士さんがなんの希望もなく生きていて追い詰められて少女誘拐だの焼身自殺だのするのはなんとなく受け入れられるかな…。
まぁあくまで個人の感想ですけど。


あとね、病院での虹郎さんの顔や髪や眉毛は、これでいいのか、それともメイクの粗なのか?と一瞬にして物語の中から現実に引き戻されて戸惑ってしまいました。なんか特殊メイクで髪型とか眉毛とかいじってますよ〜…感丸出しだったように思えて。

役者さんたちの演技はとても良いと思います、引き込まれました。
やっぱり綾野剛すごい。物語の中の虚構の人物であることを忘れる。
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