イホウジン

未知との遭遇 ファイナル・カット版のイホウジンのレビュー・感想・評価

4.1
映画全体の幻想的でミステリアスな雰囲気がただただ最高。

特撮,光,音楽など、あらゆる映像表現を総動員して映画全体で“未知との遭遇”を体現している。
この映画の見所は「“未知との遭遇”により人間はどう変わるか」である。これは決して明るい意味だけを持つ訳では無く、げんに主人公の家庭崩壊パートはかなり恐ろしい。ある意味主人公の家族も「変貌した父親」という“未知”に遭遇してしまったのだろう。一方で、そういった“未知”なる存在をなんとか理解しようとする人々の群像劇とも読み取れる。UFOに遭遇した人々や研究者は皆、我々がなぜ未知なる存在からコンタクトがなされたのか知りたいという強い探究心があり、これもまた人間の一つの姿なのだと実感する。
子どもと大人での“未知”に対するリアクションの違いや、UFO遭遇者ごとの心情の違いなど、人間の「知る」という行為をとことん突き詰めた作品とも言える。
音楽は言わずもがな素晴らしい。個人的には宇宙人と人間が電子音楽でコミュニケーションを取る場面が好き。音楽としての完成度もとても良い。

登場人物が多いせいか脇役の存在が不明瞭になる場面が多い気がした。特に家庭崩壊後の家族や一緒にデビルズタワーに向かった男性など、消化不良に終わる登場人物が多々あるのが惜しかった。
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