驚くべき時間経過の描写にずっとヤキモキしていた。
いくつもの痛ましい瞬間がなかなか終わらない。痛ましい出来事の積み重ねの果てにささやかな救い――決してそれはカタルシスなどではない!――が待っているはずだった。けれど、ひとつひとつの出来事の耐え難さにララは焦り続ける。焦りと苦しみをじっとしまいこむ表情が、気が遠くなるほど長いあいだ映し出されている。
余所事ではいられない、いやになるほどの息苦しさともどかしさを生々しくもたらしてくれる。トランスジェンダーをテーマにした作品としても、ひとつの映画作品としても、本当にすばらしかった。