TS

グリーンブックのTSのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
3.8
【無難な作品賞】80点
ーーーーーーーーーーーーー
監督:ピーター・ファレリー
製作国:アメリカ
ジャンル:ドラマ
収録時間:130分
ーーーーーーーーーーーーー
2019年劇場鑑賞16本目。
第91回(2019)アカデミー賞作品賞受賞。
無難なバディムービー。『最強のふたり』とかがお好きであればオススメかも。黒人差別が色濃く残るアメリカ南部を、イタリア系白人が運転士となり黒人のピアニストと横断していく実話です。人権映画としても良好であり、生徒達に見せても勉強になる映画だと感じました。無難すぎてまあ今年の作品賞もこんなものか。と思ってしまいましたが昨年の『シェイプオブウォーター』なんぞよりかは数段マシ。

20世紀半ばのアメリカ。ニューヨークのナイトクラブで見張り役をしていたドニーはある日客を殴ってしまったため解雇される。そこでピアニストとしてツアーを企画している黒人のドンが彼に運転士の仕事を依頼してきたのだが。。

グリーンブックとは黒人専用の旅行ガイド冊子のこと。運転士となるドニーはこれを参考にしながら旅を続けます。
誠実そうなドクに比べ、ドニーはカッとなればすぐに人を殴ってしまう荒くれ者。おまけにジムクロウが根強く残る時代でもあったため、必然的に白人が黒人を嫌悪してしまう固定概念がありました。極端に言えば人間と言えないなにかとともに車で旅をするという考え方に近いので、ドンが最初この仕事を断るのも当然。しかし、車で道を進んでいくごとに奇妙な友情が見栄えていきます。特にフライドチキンのシーンはその兆しが見えた重要なシーンでしょう。

ジムクロウというのは黒人と白人をあらゆるものに対し分離させるものでして、トイレはもちろん飲み水の場所、バスの席などもわけられるのです。最近の映画であれば『ドリーム』のトイレの描写がそれを示唆していました。今作の最も強烈なジムクロウが反映しているシーンはとあるレストランのシーンでしょう。黒人だからというたったそれだけの理由で白人と同じ席には座れない。今から演奏を行う者とて例外ではありません。そこに素朴な疑問と憤りを感じるドクはこのシーンにおいては自分の立場を守りきるのです。

一方、ドニーにも気持ちの変化が現れます。これまで真っ当に黒人と腹を割って話をしていなかったのでしょうか。長い時間二人で旅をするとともに芽生える何かがあったのでしょう。前半と後半では人が変わったようになります。人は触れ合うことで偏見を削ぎ落とせ、気持ちを入れ替えることができるのです。

衝撃的なシーンはあまりないですが、無難なバディムービー、ロードムービーといったところでしょう。これまで白人至上主義がほのかにあったアカデミー賞でしたが、昨今は改善されてきてる模様でして、今作は今という時代を映す映画でもあるでしょう。しかし、それを考慮しすぎて逆の現象が起きないかやや心配してしまいますし、毎回白人と黒人に関する映画が受賞となれば、アカデミー賞もいろいろと考えていかなければならないことになるでしょう。
TS

TS