スタンウェイ、石ころ、銃、ケンタッキーフライドチキン、そしてラブレター…。
伏線回収が非常に丁寧で、全てのエピソードに感情移入できて最高なオチがつく。
差別問題を根底に置きながらコメディとしても一級の出来で、人種を超えた二人の友情を心から応援したくなる。
.
と、表層だけを見ればとても素敵な作品でオスカー受賞も頷けるのだけれど…。
.
典型的な「白人目線の人種差別救済映画」で、「白人にもいい奴いるからさ」と言いたいだけなのでは、という側面も垣間見えてしまい。
登場人物に「自分個人の差別ではなく、しきたりだからしょうがない」と言わせてしまった時点でそれはもう只の言い訳でしかなく、終盤の強盗未遂から助けるシーンにも、製作陣の“鈍感さ”感じた。
.
過去のオスカー受賞作『クラッシュ』でもそうだったように、白人目線で作るこの手の映画は必ず批判を浴びる。
白人は歩み寄っているつもりでも、黒人にとってはそれは白人の自己満足であって、溝は縮まらない。
.
本作の受賞時、オスカー像を受け取るために壇上に上がった製作陣がほとんど白人だった。大きな違和感を感じたのは自分だけではなかったようで。
