わたふぁ

グリーンブックのわたふぁのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
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機内3/3

1960年代のアメリカ。イタリア系白人のトニーはNYでの職を失い、アフリカ系黒人ピアニストのドクター・シャーリーに運転手兼付き人として雇われる。
これからドクター・シャーリーはあえて黒人差別が色濃く残る南部へのツアーを周ろうとしており、トニーのような腕っぷしの強い用心棒を求めていた。

生活費が必要で高額な報酬は必ず手にしたいトニーと、何が起きてもツアーを周りきると決めたドクターシャーリー。
ケンタッキー州に入ってフライドチキンをハッピーバーレルで買ってむしゃむしゃ食べるトニーと、初めてフライドチキンを手にして恐る恐る口にするドクターシャーリー。
黒人に雇われている白人と、白人をガードマンとして従えている黒人。

見た目もそうだし、生活のステータスも、教養の有無も、繊細さもガサツさも怒りっぽいところも、すべてといってもいいほど2人には違いがあり、延々と白と黒が入れ替わるオセロを見ているようだった。

ドクターシャーリーには彼にしか出せない音色があり、それを是非楽しみたいとゲストに招くのに、ステージを降りれば扱いはただの黒人。ゲストなのにトイレではなく木陰で用を足せと言われたり、控え室が物置きのような場所であったり、レストランで食事も取ることが許されなかったり。想像の度を超える屈辱がそこにはあった。

オセロが黒と白ばかりではなくなるラストはわかっていてもやっぱり感動する。機内で涙を流すのは遠慮した。