ピッツア橋本

グリーンブックのピッツア橋本のレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
5.0
"Light the truth together. Stay gold forever."

2019.10.4渋谷夜の映画祭にて鑑賞。

ヤンチャなイタリア系アメリカ人のトニーが高貴な"黒人"音楽家ドクの運転手として雇われる事から始まる、60年代黒人差別問題をテーマにしたロード&バディムービー。

黒人差別を扱っている作品は沢山あるけれど、本作のポイントはドクには誇り高き貴族の身分とハートを併せ持っているのがポイント。

トニーや周囲の白人たちの
「アイツは仕方なく黒人にこき使われている。屈辱的!なんて哀れな奴だ」
という凝り固まった固定観念のスタートから、ドクの数奇だけど、確かな尊厳を持って音楽活動するドクの生き様にトニーは心動かされていく。

そしてドクも黒人でありながら、ほぼ貧民である同胞に馴染めず、孤立する心をトニーが持ち前の無法ぶりで、その心の扉をこじ開けていく。


大食漢のトニーがケンタッキーフライドチキンを食い散らかしながらドクを連れてドライブするバディ&ロードムービーが主軸にある。
その車にはトニーの家族愛も、黒人迫害にあえて立ち向かうドクの勇気とプライドも全部乗っかっている。

彼らの旅路はいつも偏見や矛盾が絡みついて、真っ直ぐ前に進めた試しがない。

俺は観てて胸が熱くなり、怒りに手が震えるシーンも多々あったが、それを彼らの言動が優しく諫めてくれた。

2人の勇気と誇り、そして友情がいつかどこか正しい所に届く、少しずつ変わっていく予感を残すシーンの数々に涙した。

ヘビーな内容のはずなのに、2人のキャラクターがそれを温かく、優しいムードにしてくれたんだろうなあと思う。

また何か自分が人生の選択に迷ったら観ようと思える映画でした。
ピッツア橋本

ピッツア橋本