回想シーンでご飯3杯いける

華氏 119の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

華氏 119(2018年製作の映画)
3.8
オンライン試写会にて鑑賞。テイラー・スウィフトによる反共和党発言から間髪を入れずに、反トランプとおぼしき本作が登場。前作「華氏911」以上に話題を呼びそう。

マイケール・ムーア監督とトランプ大統領のガチ対決をイメージさせるポスターに対して、実際はそうではなく、2016年の大統領選でトランプが選ばれた構造的な要因を分析する事を中心に据えている。ちなみにこのポスターは日本用のものと思われ、本国ではマイケルムーアらしき後ろ姿の人物(トランプにも見える)がホワイトハウスに爆弾を投げ込む構図になっている。

本作では民主党の落ち度や、ヒラリー・クリントンへの皮肉も挟みこんでくる。当たり前だけど大統領1人の力で国の体質が突然変わるわけが無く、実はトランプが選ばれる前から、国民の政治意識が微妙に変わってきたのだと、監督は語る。そして、その経緯はヒトラーが独裁体制を構築した時と極似するとも。

全体として、トランプ個人を追うドキュメンタリーというより、保守化の一途を辿る国政や国民のあり方を問う社説のような作品だと思う。それ故に、例えば日本で自民党が長きにわたって政権を維持している構造とも照らし合わせる事ができるはずであり、アメリカ人にとっても日本人にとっても耳が痛い作品といえるかもしれない。本作の後半では、まだ選挙権を持っていない若い世代の行動に希望を見出しているが、日本の場合はどうだろうか。