RAY

ジョーカーのRAYのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.4
“HAPPY”ではなく“ハッピー”



もの凄く胸が苦しくなりました。


この映画では、“JOKER”がどのようにして誕生したのかということが描かれています。


まずは、ホンアキン・フェニックスに拍手を贈りたい。
“JOKER”を演じる重圧がどれ程のものか。

それでも、これだけの演技で応えるのだから。
本当に素晴らしかった。


役者陣の話以外に、この映画を説明するにはあまりに難しい。
このレビューを書きながら、あらためてそう思っています。

ただ、もの凄く胸が苦しくなったその理由には心当たりがあります。


少しだけ、僕の話をします。

僕は小さい時から、『いつも笑っているね』とかそういうことをよく言われてきました。
実のところ、それは大人になった今でも時折言われます。
確かに、僕は争う事が嫌いで、笑顔で隠してきました。
だけど、そうしているうちにいつの間にか、怒っていても、辛くても、同じ顔しかできなくなっていました。

怒ることや、辛いという気持ちを表すことは、僕にとっては凄くパワーのいることだったのだけど、それが伝えられなかったことは、『なんで分かってくれないの』という周囲への怒りだけでなく、自分への怒りも感じる要因になりました。

大人になる中で、幾らか言葉にすることが出来る様になって、そういう事は随分減りましたが。


冒頭の“HAPPY”ではなく“ハッピー”という言葉は、日本語だからこそ表現出来る詳細な意味合いを感じたところがあって、“HAPPY”という言葉でなく“ハッピー”という言葉を使う事によって、その幸せが偽物の様に思わされました。

僕の過去の話なんて、JOKERの比ではないのだけれど、怒りや憎しみ等と言うのは誰しもが知らぬ間に感じ、溜め込み、増幅させ得るものなのだなぁと思い知らされます。

この、映画『JOKER』において、“ハッピー”という言葉が用いられた意味は、社会に対する指摘でもあるのではないかと感じています。


余計な話まで書いて申し訳ありません。

読んで下さって本当にありがとうございます。


最後に、あらためて、この作品は本当に素晴らしいものだったと思います。
言い表せないことは山ほどありますが、映画を観れば感じられると思います。


観て良かった。
RAY

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