まっと

ジョーカーのまっとのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
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こんなにアーサーさんが「人を笑わせたい」「コメディアンになりたい」と夢見て頑張ってるところ申し訳無いのですが鑑賞中ずっと「笑えねえ〜〜〜!!!」と顔が引きつっていました

私はDC初心者でジョーカーといえば顔がめちゃくちゃ怖いことしか知らないニコルソンと演技がめちゃくちゃヤバいヒース・レジャーのイメージだけなんです 私は多分ジョーカーを人間社会に発生したウィルスだと思っていました ゴッサムという街を内側から食い破るウィルス ウィルスが周りのものを破壊するのに理由なんてない そんなジョーカーが自分への抗体を見つけたはたらく細胞物語がダークナイトなんだと(怒られそっっっ)

アーサーさんは最初は悪いことなんてしない善良な人間でした 彼がいかにしてジョーカーになったのかってどこをどう取っても「周りのせいだよ!!!!」としか思えないのが最高に悲劇で最低に喜劇なんですけど……
今まで出会ってきた"悪"側の人って、いくら過去がアレだろうと裏切られたり大切な人を亡くしていようと、最終的に悪に堕ちる最後の一線は自分で越えた、どこかで自分の中の悪が善性を上回った、という一抹の自業自得があったと思ってます でもアーサーさんは完璧5000%自身を持って「周りのせいです!!」というっきゃない
あの社会の中で虐げられてもなお失われない善性を身に着けろと??? 無理ゲーすぎてプレステ叩き割るわ 心の拠り所だと思ったものが一つ一つ自分を裏切っていく 理不尽な暴力から守ってくれる人なんていない なら自分が自分を守って何が悪い??? そんな暴力がはびこるこの世界を壊して何が悪い???

この映画を見て「誰かジョーカーをやっつけて」と思う人はきっといないんです みんなジョーカーが街に火をつけるのを心待ちにしていた 彼はヒーローだった そして彼がヒーローであることを疑わない気持ちにほぼ確実に「なってしまう」のがこの映画の危険たる所以なんだと思います

ブルース少年はこの世界の中であの善性を身に着けなければいけないの? それってもう 彼が怪物では??
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