ペンソー

ジョーカーのペンソーのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.7
バットマンの宿敵であるジョーカーがいかにしてジョーカーになったのかという、原作を持たないオリジナル脚本作品。
トレイラーから伝わる「すごい映画感」に期待して劇場へ。

"ダークナイト"のH・レジャー演じるジョーカーが一番好きなので、作風としてシリアスな本作のジョーカーもすごく良かった。
しかしながらジョーカーはやはり、バットマンを翻弄し、理解できない存在でなければならないと思った。
「アメコミ作品でありながらアメコミ作品ではない」というのもすごくよく分かったし、アメコミ作品の枠に囚われない素晴らしい作品だと思ったけど、ジョーカーという存在の魅力は逆に半減してしまったように感じた。

ジョーカーの過去に焦点を当てた本作は、ジョーカーをジョーカーではなく一人のありきたりな人間へと貶めてしまった気がする。
きっとジョーカーにも過去があって、本作のような過去が原因でジョーカーへと変貌してしまったのかもしれない。
しかしながらそれを映像化してジョーカーという存在を型にはめてしまったのは少し違うなと鑑賞し終わってから思った。
今までのジョーカーと比べる作品ではないということは分かった上で鑑賞したけど、ジョーカーには「正体不明」でいてほしかったという個人的な願望が上回ってしまいました。

これからDCEU作品でジョーカーが登場したとき、きっと観る人が本作のジョーカーを思い浮かべながら作品を鑑賞することになってしまうのは少し残念だなぁと思いました。
バットマンが「力」では勝てない、狂気に満ちたジョーカーが好きだと再認識した。

アーサーがジョーカーへと変貌を遂げ、民衆の暴動が始まったとき、電車の中でピエロのマスクを被りながら後ろに下がっていくジョーカーのシーンが本作で最高のシーンでした。
また、ジョーカーが一人、階段で踊るシーンは音楽と相まって素晴らしいシーンになっていたと思います。


T・フィリップス監督、脚本作品。
J・フェニックス主演。
R・D・ニーロ、Z・ビーツ、S・ウィガム共演。
"ハングオーバー"シリーズからうって変わってシリアスな作風に驚いた。
"ウォードッグス"ではわりかしシリアスな演出をしていたけどそれでも半分くらいはコメディ的な演出だったし、ここまでシリアスな作風を貫いているのは驚きでした。
本人にとってはコメディなのにコメディではないジョーカーというキャラクターの価値観を、T・フィリップス監督が演出していることが面白く感じました。
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