ピッツア橋本

ジョーカーのピッツア橋本のレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.7
"笑いと叫びの表情は良く似ている"

ジョーカーがジョーカーになるまでのストーリー。
基本的には歴代の実写やアニメのバットマンなどに出て来た彼とは違う、アメリカンニューシネマのような陰鬱したフィルムノワールがほとんどを占める。

作品構成としてはジョーカーという稀代のヒールキャラクターの器に『タクシードライバー』『キングオブコメディ』『カッコーの巣の上で』あたりを連想させる要素をぎゅうぎゅうに詰め込んで、最高にサイコで尖った逸品に仕上がっているなあと感じた。

受けた感想としてはあまりにサイコでダーク。
元々限りなく黒に近いグレーのキャンパスに、色んな黒を塗りたくったようなケイオスなシーンのオンパレードで精神を持ってかれる。

日常を忘れたくて映画館に来てるのに、上映中、逆に日常の些細な違和感がとても気掛かりになって不安になってしまった苦笑

でもそれくらいインパクトと完成度が凄まじい映画なのだといえる。

何個か他作品のジョーカーに触れている人は本作をより多層的に楽しめたはず。
自分は本作のラストシーンであり、初代実写バットマンの冒頭でもあるあの要素を、今回の"新説"に変えた事に強烈なカタルシスを感じて鳥肌が立ちました。

これはアメコミのスピンオフじゃない。
世の悪意全てに問い掛ける映画だ!

これから観る人は気合入れて、コンディション整えて観に行って欲しいです。
ピッツア橋本

ピッツア橋本