久しぶりのレビュー。
バットマン/ダークナイトで、故ヒース・レジャーが演じたジョーカーは、悪魔のような存在感を放っていて、強烈なインパクトを残した。助演が主演を演技で喰っていた。
本作は、主人公アーサーが、ジョーカーに変わっていく過程や背景を丁寧に描いた作品。
とは言え、予想していた程の残酷描写はない反面、全体的に陰鬱な空気感が終始漂っている。
貧乏で、ピエロで生計を立てながら、母親の面倒を見ている青年アーサー。
ストレスを受けると笑ってしまう病を抱えており、常に生きる事の困難さを苦悩している。
そんな彼だが、一筋の光とも言える女性ソフィーとの出会いによって、少しずつ彼の人生が好転して行くかのように思えたのだが・・・
(これから先は、ネタバレになるので、本編にてお楽しみ下さい。)
全体的に、キング・オブ・コメディとタクシードライバーに非常に近い作品。
(デニーロが、番組の司会なのは、キング・オブ・コメディのオマージュだし、ゴッサムの街の荒廃した様子はタクシードライバのニューヨークそのもの)
終盤で、過酷過ぎる現実に対して、アーサーが本心をさらけ出す場面(カタルシス)は、8mileに近いなと感じました。
こんな過酷な人生だったら、誰でもジョーカーになってしまう可能性があるよなぁとしみじみ思いました。