Baad

ディル・セ 心からのBaadのレビュー・感想・評価

ディル・セ 心から(1998年製作の映画)
4.6
プロデューサー:シェーカル・カプール
監督:マニラトナム
音楽:A・ラフマーン
作詞:グルザール
舞踏監督:ファラー・カーン
主演:マニーシャ・コイララ(「ボンベイ」)/シャー・ルク・カーン

と、まさにインド映画の王道を行く立役者達が揃って作った社会派娯楽メロドラマ。ヒンディー語映画です。

すごいのは、音楽、踊り、演出、ミュージカル、ドラマ、社会性、娯楽性のどのポイントをとっても全く手抜きがない事。

陶酔のラブロマンスとテロの裏側を平行して同じ比重で描いている所がすごい・・・というわけで、面白いしためになるんですが、長いわ、重いわ、面白いわ、で、うっぷという気分になってしまいます。これ一本のネタで洒落たミュージカル・シリアスな社会派映画・深刻なメロドラマとアメリカ映画なら3本は作れそう。

そのうえ、監督がイランのマフバルバフのファンとかで、一部既視感のある場面、「パンと植木鉢」へのオマージュが。(実は、この部分のシーンが一番好きでした。)

この映画のダイナミックなミュージカルの演出が受けて、アブドゥル・ラフマーンさんはイギリスのミュージカル界に進出したらしいんですが、ミュージカル演出は正直派手すぎて内容とちぐはぐな感じがしました。。マニーシャさんがボンベイの頃と比べるとかなり貫禄のスタイルになってしまったのが残念で、「別に踊らなくても~」と思ってしまいました。踊りはバックダンサーに任せておいてお澄まししてたら、最初から最後まで悲劇の絶世の美女に見えたのに。

あ、でも、最初の方のシャー・ルクが胸をドンドン叩いて、ゴリラみたいに見えちゃうシーンはとっても好きでした。(このあたりがのシーンが、イギリスで評価されたらしい。)

構成は、前半ミュージカル主体で後半社会派ドラマ、最後に悲劇に突入、という感じなのですが、ミュージカルの部分はくどすぎたし、テロの背景に関してもあそこまでリアルに撮らなくても、と思いました。

いろんな意味でお腹いっぱいだったのですが、それぞれの部分が結構見応えがあったし、シャー・ルクの妻役のプリーティー・ジンターさんが演技も踊りもとてもいい感じだったので、満足感がありました。

プリーティーさんの出ている映画、また見たいです。

(オール・スター・キャスト 2012/7/24記)
Baad

Baad