海老シュウマイ

十二人の死にたい子どもたちの海老シュウマイのレビュー・感想・評価

5.0
本作について、罵詈雑言を数百万字書ける自信はあるのだけど、

「議論の結果、気付きがあり結論が変わる」という描写の一点のみで素晴らしい。それが「十二人の怒れる男」の精神だったはずなので。

もちろん、議論と呼べるような内容だったかは疑問だし、単に他人の状況や心情を知っただけとも言えるけど、それも大事だし、自分のつらさを自分の口で吐露できることでラクになる、それが経験できただけでもいいじゃない。
(だからって何も問題が解決してない参加者は多いけど)

そして、自分の想いが他人の想いと衝突する橋本環奈と古川琴音のパートも好きすぎる。
そこをどう調整するかが民主主義の根幹なわけで。自分の「好き」は大事、だから干渉しないで、じゃねーのよ。
そんなの構造的に無理、無人島行くしかない。どうにかして着地させないといけないわけ。

最初に異議を唱えるのが、渕野右登なのも良かった。その場の空気を支配しそうな杉咲花ではなく、空気を読めない奴が空気を変えていく。

本当に政治学、社会学の教材として興味深いのだけど、そんなのを説教くさく描いたところでエンタメとして面白くなるはずがない。この平均スコアには納得だぞ、堤幸彦。