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リンドグレーンのmumbleboyのレビュー・感想・評価

リンドグレーン(2018年製作の映画)
3.7
リンドグレーンさんの作品では以前「山賊の娘 ローニャ」のアニメシリーズを観たのが唯一でそれを一緒に観た相方に今作を観た後に作品のあらすじを喋っていたら、そんなんじゃなくてどこが面白かったのか教えてよとキレられました。相方はネガティブな話が異常に苦手で、まあこの話を大雑把にするとネガティブなことだらけなのですが「山賊の娘 ローニャ」を一緒に観た同志としてはリンドグレーンさんの話にもっと興味もってくれるのではと思ったのと家庭内の話にクオリティーを求められてもなあ、と何だかモヤモヤしました。

今作もリンドグレーンさん、要所々々での決断にツッコミ入れたくなりました。え?そんなおっさんと関係を持つの?とか、そこで心折れちゃって息子を連れ帰らないの?とか。まあ当事者じゃない外の人間からみたら理にかなってない行動をとりまくりなリンドグレーンさんだけどその時その時で必死に生きていらっしゃったのがすごく伝わりました。でも一番ツッコミを入れたいのはこの邦題ですかね。「リンドグレーン」って劇中ではお婆さんになったリンドグレーンさんパート以外ではまだリンドグレーンを名乗る前のアストリッドさんでそこから結婚してリンドグレーンさんになるまでを描いてるのであればまだしもそれよりもだいぶ手前で話が終わってしまってるのでこの邦題はちょっと違うんでないのと思いました。英題も「Becoming Astrid」でリンドグレーンの名はどこにも入ってません。まあ映画の良し悪しには関係ないですが。これを観て今では社会福祉や多様性に於いては世界でもかなり上位な位置にいるスウェーデンも昔は画一性から外れてしまった人間にとってはすごく生きづらい社会だったんだなと思いました。その時代にもデンマークという国では弱者を救済する人がいたんですね。今作に於いてはマリーというたった1人の人の献身的な行いでどれだけの人が救われたか、このマリーさんを題材にした映画があってもいいんじゃないと思いました。今作はリンドグレーンさんの半生記という感じですがあまり彼女の作品がどの様にして創られたのかという所は見られませんでしたが1人の女性の生い立ちを見事に描いた映画だなと思いました。
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