ねまる

ダウントン・アビーのねまるのネタバレレビュー・内容・結末

ダウントン・アビー(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ドラマを完走してから、しばらく経って観たけど、あぁやっぱりダウントンアビーが好きだなぁと実感する作品。
ハイクレア城、テーマソング、クローリー家、そこで働く人々。みんなが我が家のように迎えてくれる。
テレビの前に座っていただけなのに、そこが私のもう一つの我が家なの。
久しぶりに帰省をしたかのように城を散策し、親戚に会うように懐かしい面々との再会した。

家族というものの一つの理想。
それはロバートとコーラのお互い自立しながら、支え合う、想い合う関係を中心として、全員がグランサム伯爵家を、家族みんなで支え合い、想い合う絆があるところなんだよね。
それは今回特にトム・ブランソンに感じられた。
トムはもともと階級も思想も違うからこそ、どんな生まれでも、どんな考え方でも、それを合わせる必要はないし、同時に家族も思いやることが出来る。

なんかさ、色々叫ばれる世の中で、白人貴族を主人公として、階級差別を色濃く描いているこの作品は時代錯誤なのかなとも思ったこともあるんですよ。
でも、時代錯誤だから要らないなんてことは無くて、この時代を描くからこその正解がちゃんと描かれていて嬉しかったんだよ。

アンナからメアリーへの
「あなたはダウントンアビーの核なんです」
アンナから泥棒仕立て屋への
「自分が持てない高級品だからって、誰も持ってはいけないということじゃない」
持てる生まれのメアリーが持っているものを捨てようかと考えるのは、今の暮らしが時代に合っていないんじゃないかと考えているからなんだけど、アンナの持ってるからって剥奪しようとしたり、それを捨てたりするのは違うよ、持っているからこそ全力で守るんだよという目線がね、本当ね、上手く書けないんだけど、心地良かった。
そして、ヴァイオレットからメアリーへの城の継承に繋がるラストが良い。
太陽が燦燦と昇っていた時代から陽が傾いて、どんどん暗くなってくことに感じる不安。過去は煌めいていて、今は不安に思うけど、一括りにしている過去にも色んな時代があった。
メアリーの中にヴァイオレットのダウントンアビーへの想いは継承されている。
だからどんなにやりくりが大変でも、色んなことが変わっても守り続けるものがある。
それはダウントンアビーという城、土地の有形なものもそうだし、貴族としての振る舞いや家族の在り方と言った無形のものもそう。

円安は進むし、物価は上がるし、給料は上がらないし、GDPも上がらないし、戦争は起こるし、感染症は流行するし、全く明るい未来が見えない日本。
自分の親が暮らしたような生活は送れないだろうし、もし子供が出来ても自分が育ったように与えてやれないだろうし、じゃあ私は何を遺すの?とかなんかぼんやり不安な将来にぼんやり悩んでいたから、有形の資産なんてものはないけど、親の世代だって、そのまた上の世代だって変わる時代の中で乗り越え守ってきた家族というもの。大切に守らないとな。
ねまる

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