にしやん

守護教師のにしやんのレビュー・感想・評価

守護教師(2018年製作の映画)
3.0
失踪した女子高生を体育教師と失踪した女子高生の親友が捜索するっちゅうんが基本プロットやねんけど、ただの失踪調査の探偵もんや無うて、学校も警察もわざと失踪生徒を探せへん、街全体がなんか怪しい雰囲気の中で、次々に衝撃的な事実が発覚していくっちゅう学園サスペンスもんやな。

もう「マブリー映画」っちゅう新たなジャンルが出来上がってしもとうな。直前に上映された「無双の鉄拳」と同様に、誘拐された女性を取り戻すために身一つ、腕っぷし一つで敵陣に乗り込んでいくというが「マブリー映画」の基本路線になってまうんかな。往年の高倉健の東映ヤクザシリーズと似てきとうな。せやけど、こういう一つのパターンが出来上がってまうと、「どうせ最後はマ・ドンソクが出て来て助けるんやろ?」っていうが絶対的安心感がどっかに漂ってまうんは、これはもうしゃあないかもしれへんな。これはこれでお決まりやとしても、どないして今までにないおもろい設定を用意すんのか、今までにない緊張感を作っていくんかというんがポイントになってくるわな。

本作が用意したんもんのまず一つ目は、マ・ドンソクを元ボクシング・チャンピオンで女子校の体育教師にしたことやな。女子高生にからかわれてオロオロしたり、街のゲーセンでUFOキャッチャーに夢中になってんのを生徒に見られたりというところはそこそこ笑えたかな。どうせやったら授業の一つくらいはやってほしかったわ。そこそこおもろかったと思うけどな。教師やのに仕事が滞納学費の取り立てだけやっていうんは企画としてちょっと勿体ない気ぃしたわ。それとどうせやったら今回コンビ(?)を組んだ女子高生とのやり取りにしてもワンパターンや無しに、せっかくやねんからもうちょっと色んなバリエーションが欲しかったかな。特にコメディー要素はあっても良かったんとちゃうかな。

それと他には、街全体を覆う一種不穏な空気の中で失踪した女子高生を捜索するミステリー的な要素と、コンビを組んだ女子高生へ忍び寄る魔の手といったスリラー的な要素やな。スリラー要素についてはベタやけどまあまあとちゃうかな。バスを見送る不審者やとか、夜道で近づいてくる不審車やとか。ただ、ミステリー要素についてはもひとつや。最後まで誰が犯人か分からへんやつとは違て、かなり早い段階で悪もんが分かるさかい、あとは誰が実行犯かと動機はなにかを当てるだけになってしもてるんがつまらんわ。それと、この悪もんのスケールが、いくら田舎町とはいえ小さすぎるわ。一言で言うとしょぼいねん。それに、なんでわざわざあんたがやる必要あんねんて感じやったし。

あと、ウリのアクションやけど、アクションシーンがちょっと少ない感じがしたんと、元ボクサーという設定もあって基本パンチしか繰り出せへんのが単調やし、ちょっと派手さに欠けんな。前作の「無双の鉄拳」に比べたら相当消化不良やったかな。

この映画には韓国映画特有の身の毛もよだつスリラーやとか、えげつない暴力やとかは期待せんほうがええかもしれんな。マ・ドンソクの眉間の皺と腕っぷし、それにヒロイン役のキム・セロンの可愛らしさ以外はあんまりおもしろ味に欠けるっちゅうんが本音や。見れへんことはないけど、興奮度としてはちょっと落ちるかな。せやけど、しょうもない邦画を観るくらいやったら、こっちのほうが全然ましやと思うわ。。

次の「マブリー映画」では、いったい何やるんやろ?刑事、アームレスラー、魚河岸、体育教師と来て次は何やろな。楽しみやわ。
にしやん

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