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テルアビブ・オン・ファイアのmaverickのレビュー・感想・評価

4.1
2018年の、ルクセンブルク・フランス・イスラエル・ベルギー合作映画。


人気ドラマの制作現場で働くパレスチナ人青年が主人公。イスラエルの検問所で咄嗟についた嘘により、彼の日常は一変する。まるで三谷幸喜作品のような面白おかしい人間ドラマ。社会情勢も強く感じさせながら、笑って楽しめる作品性なのが良い。

ドラマ制作の裏側が見れる。台詞や展開がその場での思いつきだったりするのが面白い。演者側からの要望で書き換えられたりと、脚本家は大変だ。

イスラエルの司令官は職権を乱用して脚本の変更を要望してくる。でもその内容が面白くて主人公の手助けになるのが笑える。本作は主人公と司令官の奇妙な関係性で成り立つ喜劇だ。伝統的な家庭料理であるフムスで司令官を買収するのも面白い。徐々に脚本家として成長してゆく主人公。最後の展開はとてもユニークなものだった。

主人公サラームを演じるカイス・ナシェフは独特な雰囲気があった。ドラマの主演女優を演じているのは『灼熱の魂』のルブナ・アザバル。ノオミ・ラパスに似ている。ヒロインを演じるマイサ・アブドゥ・エルハディは美人だった。味のある役者が揃っている。


イスラエルとパレスチナの関係性を喜劇として描く良く出来た作品であった。主人公の成長物語としても楽しめる。差し込まれるドラマの映像がクオリティ高くて爆笑だった。ドラマのシーズン2の制作現場を舞台とした、本作の続編も観てみたい。
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