足拭き猫

テルアビブ・オン・ファイアの足拭き猫のレビュー・感想・評価

3.2
サラムや女スパイの人物設定がよくわかってなかったのと、イスラエルとパレスチナの対立についてはぼんやりとしか知らず、フランス語とアラブ語が混じっていた次点で両方の言語って似ているのかなぁ、ということに頭が行ってしまったこと、アッシのフムスへのこだわりが何を意味しているのか理解していなかったことなどはてなマークがたくさんつきながらの鑑賞。しかも「バシュランギおじさんと小さな迷子」のような感動的な展開を想像していってしまったのが仇となり自分の中で盛り上がらずに終わった。
アッシが自分のプライドを保つために脚本に協力しているので、サラムが彼のためにフムスを作ってあげた場面がありつつも両者が仲良くなった感がなかったし、かつサラムの脚本家として、あるいは自分がおかれている社会的な状況への向き合い方の変化が淡々としていたことも原因。

アラビア語は右側から書くんだとか、恋人の家で売っている乾物が美味しそう、西洋的な建物なのに窓枠がアラブ的、イスラエル側の人はヘジャブを被らない、ところどころ背景に見える建物のがれきなど現場の様子を知ることができた。サラムと同じような理由でフムスがだめなパレスチナ人も多いのかも。それと子どもの頃からの知識でイスラエル人は故郷のない可哀そうな人たち、テロを起こすことで知られていたアラファト率いるパレスチナ側は悪い人たちというイメージを持っていたので、今回観たことを機に調べて、自分はどんだけ片側の思想に洗脳されておったのじゃと愕然とした。