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はじめての別れのkyokoのレビュー・感想・評価

はじめての別れ(2018年製作の映画)
3.9
TIFF2018⑦

新疆ウイグル自治区に暮らす人々の生活を描いた、ドキュメンタリー風味の作品。

これは「わたしたち」や「悲しみに、こんにちは」と同様、子どもたちのリアルなかわいさが見られるはずと確信していた。結果大正解!
健気に母親の世話をするアイサと天真爛漫なカリビナール、お互いの信頼感、甘え、ライバル心……全ての感情表現がリアルで、たまらなくかわいい。
そして相変わらず下の子が自由。カリビナールの弟の超自然なリアクションには笑いが起きていた。

近年新疆ウイグル自治区におけるイスラム教徒の弾圧が問題になっているけれど、そうした政治的に露骨な描写はこの映画にはない。
ただ、子どもたちへの中国語教育が猛スピードで進められており、親に対するプレッシャーもハンパない。保護者会では中国語の成績が悪い子どもと親が全員の前で吊し上げにあうのだ。こんな地獄の保護者会まじで行きたくないわ。

中国語が苦手なカリビナールは、両親が綿花を摘む横で、ウイグル語の歌を上手に歌う。父親は昔母親のために作った歌を披露する。

この美しい綿花畑と美しい言語が、いつかは消滅してしまうのだろうか。
故郷に対するノスタルジーと避けられない中国化への諦念が切なかった。
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