自らの命を顧みず所轄の違う軍隊チームの救助にあたった衛生兵が名誉勲章を取り下げられた謎を追いながら、彼の周囲の人々の証言を通して戦争が元軍人たちに与えた影響や英雄の姿を追いかけていく話。B級請負人のイメージが強いセバスタが出ているからといって侮る事なかれ。
一人一人の戦争経験を取材していくことで心の変化に気づいていくというプロットは一種のロードムービー的でもあるし、アメリカ的なヒーロー像がよく示されている。ベトナム戦争の功罪に対する反省というよりは一人一人の戦争経験が後の生活に与えた禍根に焦点が当たっているのは賛否が分かれそうなところ（少しながらベトナム側への配慮はあった）。愛国主義者のアメリカ人に直撃しそうな内容ですが、＂戦争を語り継ぐ＂という主テーマは敗戦国の日本人としてはやはり共感出来るところなので、一見の価値はあります。
セバスタの初主演映画であり、もしかしたらバッキー以来かもしれない当たり役なので、セバスタのファンには堪らない。セブがこんな豪華な名優たちに囲まれて主役張る日が来るとは……。ベトナム戦争への反戦意識が生んだ「イージー・ライダー」のピーター・フォンダにとって、同戦争の功罪と向き合い乗り越えていく当作の役柄が遺作となったのはエモいポイント。
