先日観た「最後のフェルメール」と同じ、フェルメールの贋作画家メーヘレンを取り上げた映画が目についたので観ることにした。
映画は「事実に限りなく近い物語」として始まる。
今作では、メーヘレンがフェルメール贋作を描くことになった直接の動機を、愛するヨーランカの夫ブレディウスに対する復讐としている。
したがって、物語は「メーヘレンとヨーランカの愛とその夫に対する復讐」に要約できる。
映画そのものにナチスはあまり出てこない。
#1327
2016年 オランダ🇳🇱/ベルギー🇧🇪/ルクセンブルク🇱🇺映画
監督: ルドルフ・ヴァン・デン・ベルフ
🔹1945年オランダの画家メーヘレンが、ナチス国家元帥ゲーリングにフェルメールの絵画を売った罪で逮捕される。
ナチス協力者及びオランダ文化財略奪者として長期の懲役刑を求刑された彼は、「全て自分が描いた贋作だ」と驚きの事実を告白する。
何故贋作を描くようになったのか?
映画はここから1920年代の若きメーヘレンの物語に遡る。
1920年代。若きメーヘレンは美術協会・最優秀賞を受賞した注目を集める。この式典に美術収集家ブレディウスの妻ヨーランカが現れる。
メーヘレンはヨーランカに心を奪われ、絵のモデルになって欲しいと言う。
メーヘレンの絵画教室にも現れたヨーランカはモデルになることを引き受ける。
そして完成した自分の絵を見たヨーランカは彼よ愛情を受け入れる。
メーヘレンの個展が開かれ、ヨーランカの肖像画も飾られた。
夫のブレディウスはヨーランカの肖像画を見て嫉妬し、人々の前でメーヘレンのことを貶し、嘲笑った。
これが原因で、いつしかメーヘレンはブラディウスに復讐することを決意するのだが…
🔸メーヘレンとヨーランカの関係は激しい喧嘩と仲直りを繰り返し、その感情の起伏が極端で、ちょっと理解しづらい。メーヘレンは芸術家故の言動かもしれないが、ヨーカレンもそれに負けないぐらいに激しい。
またヨーカレンと夫の関係も彼女が養女の関係から愛情もなくやむなく結婚したような雰囲気が漂ってはいるものの、その関係は明確にはわからない。
したがって物語の中心になる三角関係が詳細にわからないところが、ちょっと難点のようだ。
🔸ジャケ写にもなっているシーンはナチスのパーティの最中、メーヘレンがヨーランカの絵を描くシーンだが、この時のスタイルのヨーランカは美しく、ドキッとする。ヨーランカ役は「リズ・フェリン」というベルギーの女優さんだが、個性的な顔立ちで妖艶だ。
🔹メーヘレンは復讐を繰り返し言うが、あまりブレティウスが悪いように感じられず、また裁判の経過も復讐が成し遂げられた気持ちにはならなかった。
それでこのメーヘレンの2つ映画を比べると、私はスッキリ回収してくれた「最後のフェルメール」の方に軍配を上げる。
2023.07.30視聴360