イホウジン

プロメアのイホウジンのレビュー・感想・評価

プロメア(2019年製作の映画)
3.9
和製「スパイダーバース」と比喩したところか。

多様な手法で映像が作られており、観ていて飽きが来ない。見所は何と言ってもバーニッシュの描かれ方だろう。「炎」を型にして上手くフィクションとリアルの折り合いを付けている。場面場面で登場人物の描かれ方も大きく変化しており、その描かれ方で各々の心情も表現している点などが巧みである。世界観も安定しているので辻褄の合わないシーン等はなく、とても観やすかった。初期設定をある程度しっかり整えていたからなのかもしれない。
ストーリーはアクション7割,それ以外3割といった所だろう。序盤の軽快なテンポが映画の最後まで続いておりとても良かった。どうしてもアクションアニメ映画は途中で無理やりスローな描写(恋愛,登場人物の過去,絶交等)を入れがちな傾向があるが、この映画ではそう言ったシーンは最小限に抑えられていた。その中に映画上重要な展開を収めこんでいたため、全体の割合は少ないながら、むしろ観客の目に焼き付くような仕掛けになっている。
意外と倫理上の葛藤の描写もあるが、それはアクションシーンで霧散してしまう。そこは惜しい。

これは日本映画の必然なのかもしれないが、CGの粗さが所々で目立つ。確かに粗さがウリの映像表現ではあるが、それを良いことに手が抜かれてる所もあった気がする。まあ予算の関係もあったであろう。
あと、冒頭のバーニッシュの初期設定とその後の繋がりの浅さが残念だった。割と現代のリアルな状況とリンクする面もあったので、そこら辺にもう少し突っ込んでくれても良かったとは感じた。

ところで、普段はあまり気にしてないが声優も良かった。特に堺雅人。
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