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映画ドラえもん のび太の月面探査記のdm10foreverのレビュー・感想・評価

3.9
【友達】

「だって、僕たちは友達じゃないか」
「・・・ともだちって?」

よくある「異文化交流」の際に出くわす(あるある問答)。
・・・でもよく考えたら、子供にその質問をされたら一体なんて答えたらいいんだろう?
的確な答えって実はうまく言葉で言い表せない気がする。

『相手に対してある種の情が芽生えたことによる信頼関係』みたいな定義の話?
『その人の為に何かしてあげたいと思える相手』みたいな関係の話?

もしかしたら正解はないのかもしれないし、逆に一つじゃないのかもしれない。

ドラえもんはいつの時代も子供たちのそばに寄り添っている。
自分が子供の頃、父親に連れられて劇場に行っていたのはもう35年くらい前の事。でも、今日もやっぱり家族連れで超満員の劇場を見た時、「ドラえもん」は時代を超越した存在なんだなということをまざまざと思い知らされた。

「友達」ってこういうことなのかもしれないね。

お話はいつもの展開です。目新しい度肝を抜く展開ではなく、ある意味では「水戸黄門」的な安定感のある展開です。

---純粋なのび太君はみんなにバカにされちゃうような「伝説」や「空想」を「ド~ラ~え~も~ん(涙)」の一言で現実に変えてしまい、いつの間にかジャイアンやスネ夫、しずかちゃんを巻き込む大冒険。何故かいつもとてつもない悪いことを考える奴らと対決する羽目になり、ジャイアン、スネ夫が大活躍。しずかちゃんはお風呂で一休み。なんやかんやで感動のフィナーレ。

これを「ネタバレ」というなかれ。これは「ドラえもん映画」の鉄則であり、これを裏切ってしまっては「ドラえもん映画」じゃないんです。
よって、今作も大筋はこんな感じです。そうです「今作も」です。

では何故、相も変わらず30年も40年もドラえもん映画が愛され続けるのか?
普段はいじめっ子のジャイアンやスネ夫が「友達」の為に自分を犠牲にするシーンに胸が熱くなったり、誰よりもひ弱で情けないはずののび太が、実は誰よりも積極的に未知の相手に対しても心を開いて分け隔てなく「友達」になる過程って、時代や世代に係わらず「皆が大事に思っている人間関係」が子供にも大人にも届くような表現で投影されているからなんですね。

ドラえもんは、のび太たちが「技術的に出来ない事」を手助けしているにすぎずに、実際は彼らのやる気と勇気が物語を大きく動かしているんですね。
そう「友達のために」。

ドラえもんの映画を観ながらなら「友達」を5歳の息子にも説明してやれそうな気がしました。
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