ピッツア橋本

薬の神じゃない!のピッツア橋本のレビュー・感想・評価

薬の神じゃない!(2018年製作の映画)
4.6
"一番の病気は、貧乏だ!"

白血病で苦しんでいるが、薬が高価過ぎて買えない上海の人々に目をつけた主人公がインドから非合法で安価な白血病の薬を密輸して金儲けするストーリー。どうやら実話に基づいたドラマ。

他のレビューにもあるがまさに中国版ダラスバイヤーズクラブといえる内容。
初めは純粋に金儲けのタネとしての密輸だったが、患者達の苦悩や感謝が徐々に主人公が心絆されていく過程が自然。

正規ルート、法に基づいたやり方では到底継続できない。国はそれを分かりつつも利権の観点から安価なインド製の薬を認可させようとはしない。
そもそも病人を治すための薬なのに、彼らに満足に行き届かないようなシステムになっている矛盾。
商売人気質の主人公がそこに初めは逃げつつも、次第に真正面から向かっていく様は実に男らしい。
基本的に善意や正義感は外野たちの根拠の薄い見栄やプライドで台無しにされる。理不尽だよ。
特に中国はそこら辺が酷そうだなというのはこの史実映画で学べた。

冒頭に記したのはペテン師の薬売りが作中で投げかけたセリフだ。まさに真理。貧しさが一番の病原菌。健康はカネで買うものなのだ。

ならば主人公の心変わりは偽善なのだろうか?
悪あがきなのか?
目の前の人を救う事を愚直にやる彼に最大の賛辞と敬意を評したい。彼が本気で誰かを救う気持ちと行動が国を変える大きな第一歩となったのだから。

胸が熱くなる映画でした。
ピッツア橋本

ピッツア橋本