乙郎さん

蜜蜂と遠雷の乙郎さんのレビュー・感想・評価

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)
2.5
喪の映画。ひたすらに暗い(黒い)画面は否応にも死の匂いを感じさせる。それは、松岡茉優の衣装が第1次予選の白い服から、本選の喪服のような黒へと移り変わるように、死の受容が縦糸としてあるからなのかもしれない。
この「黒」の要素なのだけど、松岡茉優の黒髪と黒目が最大の効果を上げている。斯様に、喪の儀礼を描いた作品として優れているのは事実だが、温度を感じない画面は少し苦手だった。手持ちカメラの多さも勘弁してくれという気分になった。
あの分量の原作を2時間に収める努力をしているが、逆に登場人物たちのその2時間の外を想像させてくれない。だからどうも寂しい。
乙郎さん

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