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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のRのレビュー・感想・評価

4.2
おおーーーーー👏 正直そんなに期待してなかったけどめちゃくちゃ面白かった! こんなコテコテ古典的フーダニット殺人ミステリー見たの何年振り! 二転三転するストーリー展開が面白く、まったく目が離せなかった! ただ出だしはちょっとだけしんどい。クリストファープラマー演じる老ミステリー小説家が、ある日、ナイフを手に首を切った自殺と思しき遺体で、屋敷内に見つかった。おそらく自殺だろうが、念のため曲者の多い彼の家族ひとりひとりを取り調べする刑事たち。刑事に紛れて奥でひっそり供述を聞く男、それが本作の主人公、探偵ブノワ ブラン。フランス系の名前やし、演者がダニエル クレイグなので、いつものクールなブリティッシュイングリッシュを期待していた私は驚いた! いつもと話し方ぜんぜんちゃうやん! アメリカ南部の訛りに、少々のイギリスっぽさが隠しきれない! これは気持ち悪い! 相当気になる! と思ったけど、まぁ人間なんてすぐ慣れるもので、いつの間にやらちょっとした不思議な違和感を楽しんですらいた。きっとこれわざとこんな話し方なんやろうね。KFCネタが出てきて、はじめ何なのか気づかなかったけど州ネタだったのね。探偵ブランは、遺産争いに躍起になってる家族関係者らに何からの怪しさを感じており、いかにも探偵然としたスタンスで、一人一人の話を聞き出していく。登場人物多くてついていけるかな、と不安やったけど、キャラも役者の皆さんも、ものすごクセが強い人ばかりなので、意外なほどスイスイ頭に入ってきた。ツボだったのはトニー コレット。ほんまこの人、毎度毎度、怪演という言葉がピッタリ! ずっと語尾を疑問文みたいに上げるノータリン中年ビッチを清々しい潔さで演じ切ってて、ふつふつと笑いが……😆 で、家族の誰かが老小説家を殺した可能性はあるのか、あるのならば誰なのか、と自分なりに一応頭を捻らせて、名前とキャラ造型を覚えるために一時停止を連発しながら見てたら、途中でガラッと展開が変わります。えぇっ! こんな頑張ったのにそんな簡単に種明かし⁈ と思ったら、このへんでバラバラの人間像描写にはひと段落つけて、あるひとりの人物にしぼって、その人の立場から殺人(?)のプロセスを描いていく。ここからの巧妙なストーリー展開とスピード感とテンポの良さは素晴らしく、主人公がたいへん好ましいヤツなので、ベッドの中で安心でふんぞり返ってドキドキハラハラできる。あまり語りすぎると即ネタバレになるタイプの映画なので、ストーリーについてはこれ以上書きません。ちなみに本作は見る前は、あまり人のレビューを読まない方がよいでしょう。ネタバレってどこからその範囲に入るか、人によってズレているのでね。既にボクのもネタバレかもね! で、まず何よりも、このお話の中に出てくるオールスターズの余裕の演技合戦が見どころ! そこそこ多くの人物が、みんな雰囲気ピッタリのスーパースター俳優に演じられてて、それぞれの存在感が他者のそれを殺すことなく共存している。全員個性ゆたかやから成せる技ですね〜。特にひいおばあちゃんには笑ったわ🤣 全体の雰囲気は昔風のミステリーって感じやけど、観客・登場人物を欺くトリックなどなどが最新機器を使ったものだったりするので、そのギャップも面白い。最後のゲロとスマホの合わせ技はサイコーやった! 映像も陰影が深く、色鮮やかに輝いてて、とても良かったし、中盤はまさかのカーチェイスまであって、これがかなりの高品質! ヒヤヒヤした! あ、あと、タイトルになってるナイブズアウトのシーン、どれも印象に残りますね。最後の最後はほんまドキッ!!!とした💦 ひとつ文句を述べるとすれば、あまりにも端正に出来すぎ、スムーズに進み過ぎて、人によっては毒にも薬にもならないかもしれない可能性がある点。ボクとしてはそこそこ満足度高かったけど、感想文に書くべきこともあまり思いつかないかも笑 言うなれば、豪華で高級なエンターテインメント映画の見本のような作品でした、ってとこかな? もし同じ監督が似たような作品を作るとしたら、まぁまぁ見たいと思うでしょう。
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