みみみ

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のみみみのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

雇い主の資産家を殺した。
そんなつもりはなかった。
ただ単なる間違いだった。
私が殺した、私が殺した?

【あらすじ】
ある朝、資産家のハーランが首をナイフで切られた姿で見つかった。自殺か他殺か謎が残る現場に警察と名探偵ベノワ・ブランが到着する。警察は家族の誰にも十分な動機がないため自殺だと言うが、ブランは小さな違和感を常に感じており、他殺の可能性を疑い聞き込みや捜査を継続する。
…のだが、実はこの事件の犯人はハーランにお手伝い兼友人として雇われたマルタであった。ハーランの誕生日パーティ終了後、マルタはいつも通りハーランに鎮痛剤を打つつもりが誤って大量のモルヒネを投与してしまっていた。大量のモルヒネの投与により死が確実となったハーランがマルタを想い、自ら首を切った、と言うのが真実であった。
…がしかし、そんなことは誰1人知る由もない。そんな中、ハーランの遺言により、遺産の全てがマルタに相続されることが明らかとなる。そんなことは決して認めたくない家族、騒動を耳にしたマスコミによる圧力がマルタに迫る中、マルタの元に「お前のしたことは全て知っている」という手紙が証拠のコピーと共に届いてしまう。
全ての証拠を隠滅して多額の資産を相続するか、良心に従って犯行を自白するのか、そう葛藤するマルタであったが…

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これぞ超王道ミステリーだなって映画だった。
正直僕はラストにもっと大きなどんでん返しが待っているような映画の方が好みなんだけど、これはこれで良かった。
しかも、王道ミステリーでありがちな探偵や警察目線ではなく、犯人目線(実際にはマルタは犯人ではないんだけれども)で進行するのも良かった。確かに犯人自身も犯行後のいろんな場面で自白するかどうか悩んだり、バレないか不安になったりするよなそりゃ、って気持ちにさせてくれた。こんなミステリーってあまり多くはないんじゃないんだろうか。
マルタが途中から相続に対して強気になって「資産は私のものだ。」って徹底抗戦の体制に入ったのも良かった。そらそうなるよね、こんな状況になってるんだもん、ご都合主義で進行しない映画で良かったなあ、なんて思ってた。(結果最後資産を家族に返してあげそうな雰囲気になったのがちょっと残念だったけど。もっと振り切っていけよ!!!って気持ちになっちゃった。でもマルタ優しい子だから仕方ないのか。)

ひとつ、個人的に思ったのが、マルタの嘘ついたら嘔吐するって設定はもう少し上手いスパイスにできたんじゃないかなあっていうことかな。
実はマルタが犯人でした!までいかなくても、嘘はついているんだけど、その後嘔吐したかどうか分からないような微妙な行動をさせることでマルタ自身にも嘘をつかせる可能性はあったんじゃないかなあ。あとはそもそもこの病気自体が嘘だったとか。(ここまで来るとマルタ犯人路線に乗っちゃうのかな。)
もしかしたら僕が気づいてないだけでそういう伏線があったのだろうか、それともあえてそうしなかったのだろうか。なんか勿体無いなあって気持ちになってしまったっていうのは本音。
あ、でも冒頭に出てくる「My house My rule My coffee」が最後に効いてきたのはすごい良かったかな。これぞ伏線!えいや!って感じ。

久しぶりに王道ミステリー見たなって気持ちと、お金が絡むとどんな人間も汚くなるよなあって気持ちで見てたかな。
映画自体は面白かったけど、王道ミステリーはしばらくはいいかも。
やっぱりもっと刺激が強いのが欲しいね。
みみみ

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