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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のHrtのレビュー・感想・評価

3.8
ミステリー作家ハーランの家族がババアからガキまでクソばっかで笑ってしまった。
ライアン・ジョンソン監督も勧善懲悪を意識したのかしてないのか、その家族をコケにしまくる。
彼にとってはあの人物が唯一の心の拠り所だった。
遺産相続ではおなじみのストーリーだがその人物が色々な面から事件に巻き込まれていくのはスクリーンのダイナミズムにも効果的だった。

同一カットにはありえないくらい豪華な役者が顔を揃え、座って観ているのに目がくらんだ。
背景としてのダニエル・クレイグなんかは贅沢以外の何物でもない。
彼が庭の陰の暗闇から煙草を燻らせるシーンは本作でベストかもしれない。
そして自分がこの映画を楽しめたのはアナ・デ・アルマスが実質的な主人公の役割を担っていたから。
彼女の視点=観客の視点なのでストーリーテラーでもあるし、後々明らかになっていく真相も彼女がそれまで隠していた真実に上書きされるものだった。

思えばミステリー映画自体最近ではめっきり少なくなり製作されても名作のリメイクだったりするのだが、全く新しい脚本で作品を創り上げたライアン・ジョンソンはやはり普通の作家ではない。
しかもミステリー作家を犠牲者に置くことで入れ子のようになっていたのも面白いし、その上ミステリーの形式をも利用していたところが素晴らしかった。
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