にしやん

家族にサルーテ!イスキア島は大騒動のにしやんのレビュー・感想・評価

3.3
結婚50周年を迎えた夫妻を祝うためにイタリアのイスキア島に集まった親戚19人を巡る大騒動を描くちょっと辛口の大人のコメディーや。悪天候でフェリーが欠航になってしもて、親戚19人が2晩を共に過ごさんとあかんようになんねんけど、だんだん浮気や借金や介護などそれぞれが抱える問題が見えてきて、嫉妬や欲望が露わになっていくっちゅうんがストーリーやねんな。
正直登場人物が多すぎ、それも割りと夫婦がバラバラに集合したりするもんやさかい、誰と誰が夫婦で兄弟姉妹がどないなってて、従兄弟のなんやかんやを把握すんのが結構大変。せやけど、はじめのほうは分からんけど、話が進むにつれてだんだん分かってくるから大丈夫や。それに誰がどういう問題を抱えてて、誰と誰が何で揉めてんのかも、登場人物とストーリーそれぞれにかなり濃い味付けがされてるさかい、否が応でも把握できてまうわ。この辺の演出は上手い。ただこの親戚の人等とどういう血の繋がりか分からん親子が一組だけおったけどな。これは最後まで分からずじまいや。
総勢19名の親戚言うても、年代が幅広いのと、夫婦もおるし、独身もおるし、離婚もおるし、別居もおるし、家庭内別居もおるし色んなレパートリーの人等が用意されてるから、自分に一番近い人が必ず見つかる感じやな。多分人によって感情移入する登場人物もちゃうんやろな。わしの場合は独りもんの次男がいっちゃん近いかな。
親戚集まったら大変やわ。わし等の親兄弟だけでも大変やもん。揉める揉める。日帰りやったらぎりぎりセーフ。一泊あたりから要注意、二泊やったら完全にアウトやわ。その辺はイタリアも日本もおんなじかかいな。万国共通かもしれんわ。それと、大人たちの、ある意味で深刻、ある意味で喜劇的なゴタゴタを、十代の若いカップルがいっちゃん冷めた目で見てるっちゅう構図がおもろかったな。
とにかく、この人数のそれぞれの登場人物の背景やら感情やらをちゃんと描きながら、殆ど丸二日間のストーリーをテンポ良く2時間の映画にまとめてるとこは見事やな。これが中々出来そうで出来へんもんや。それにこの人数を捌くにあたって、フレーム内での人物配置や構図についての演出やカメラワークもちゃんと計算されてたな。
劇中「普通の人生なんてあれへん」みたいなセリフがあったけど、この言葉かいっちゃんわしには刺さったかな。ほんま「普通」って何なんやろな?学校出て、就職して、結婚して子どもできて、元気に暮らすことなんかな。せやけど、この映画観ててもそうやけど、その「普通」なんか誰もおらんもんな。表面的には見えへんけど、必ずみんな「普通」やないもんを抱えて生きてるっちゅうことなんやろな。
コメディやさかい恋愛とか、結婚とか、家庭とか、家族とかについて、そこまでめちゃくちゃシビアに突き詰めている訳ではないけど、ちょっと考えさせられたかな。まあ、そんなとこやな。
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