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テッド・バンディのJUNのレビュー・感想・評価

テッド・バンディ(2019年製作の映画)
3.7
「シリアルキラー」という言葉を作った狂気の殺人鬼、テッド・バンディをザックエフロンが演じる本作は、サスペンスというよりは、ヒューマンドラマに近いかもしれない。

1900年代後半、「前髪をセンターで分けた髪の長い若い女性」が次々と殺される事件。それは、その特徴を持った最愛だった女性に酷く振られてしまったテッドの狂気の復讐だったわけですが、この映画では、そう言った背景はあまり描かれません。劇中で描かれるのは、彼を愛する女性と、無罪を主張し自らを弁護するカリスマ的な存在のテッドの物語。裁判のシーンを中心に、彼や彼の周りの人物たちの物語が展開されます。

もっとバイオレンスな映画だと思っていたので、少し驚きました。ただ、失望したかといえばそうではなくて、むしろこういう描き方の方が彼の潜在的な異常性や人間としてのドラマがあって正解だったのではないかと思いました。
観ているうちに、本当に彼はやってないのでは?と思えてくるのが不思議です。
そんな感情が芽生えるからこその、あのラストのシーンということでしょうか。

サイコパスの特徴として、「嘘がうまくて、魅力的」というのがあるそうですが、ザックのテッドは、まさにそんな感じでした。
個人的には、この映画のMVPは間違いなくリリー・コリンズです。
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