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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのsymaxのレビュー・感想・評価

3.7
"一生悔やむようなことはするなよ…
…今は…後悔しかない…"

連邦政府から追いやられ、"最悪の土地"に追い込まれた先住民"オセージ族"…だがその土地には思わぬ宝が埋まっていた…"ブラック・ダイヤ"…そう石油だ…石油の利権を持ったオセージ族は、一気に世界有数の大富豪となったが、その利権を巡り白人達がオセージ族の土地に流れ込んできた…

戦場から帰ってきたアーネストは、土地の有力者である叔父ヘイルを頼りやって来た。

そこでオセージ族の純血の娘モリーと出会い、親密な関係に…この土地では石油の受益権を巡り、オセージ族の娘との結婚を画策する者が少なからずいたのだ…純粋にモリーを愛し結婚したアーネスト…だが、その裏でオセージ族を狙った不可解な連続殺人事件が起こり、やがて…

アメリカの歴史に埋もれた闇の事件をマーティン・スコセッシが描いた渾身の力作。

製作も兼ねたディカプリオが実に見事なクズっぷりを魅せ、リリー・グラッドストーンの見事な演技に唸る一方で、デニーロが貫禄たっぷりにワルを演じるという贅沢な3時間半…

また本作で描かれるのはFBIの黎明期の事件であり、捜査官の活躍も描かれていますが、アーネストとモリーの夫婦を中心に描かれているので、事件の概要や謎解きがメインではなく、オセージ族の置かれた環境、事態がエスカレートしていく様とその恐怖、そして何より愛故の葛藤というところがメインでしょうか?

顔が良いだけで思慮が無く、バカ…そんなアーネストは叔父にいいように利用されながらも、モリーと子供達をこよなく愛している…だけど叔父には逆らえない…そんな二面性を抱え…それがFBIの登場で一気に壊れていく…ディカプリオの演技は悲惨でありながらも何処か滑稽で悲しい…

上映時間が長い作品ですが、その長さを余り気にさせない面白さのある作品でした。

一瞬マット・デイモン?ってなるジェシー・プレモンスのFBI捜査官や突然の登場嫌な弁護士ブレンダン・フレイザー、何処に出てたのか全く分からなかったジョン・リスゴーとニヤリとする場面もありつつ、作品の奥底にあるモノを深く考えさせてくれます。

ラジオドラマ風の後日談で、モリーの死亡記事を読むのは…あれスコセッシ監督ですか?

私はそう思ったのですが…違いますかね?
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